WIKIレンタル 大衆演劇探訪記
FC2ブログ

熱意の結晶の天守閣と芝居小屋 「掛川蓬莱座」

熱意の結晶の天守閣と芝居小屋 「掛川蓬莱座」

かつて静岡県にあったセンター、大井川娯楽センター、ふくろいラドンセンター、バーデンバーデンがいずれも閉鎖してしまい、静岡西部の大衆演劇砂漠化が進むなか、2013年3月大井川の近くに島田蓬莱座が誕生しました。
それから数年、島田蓬莱座の系列劇場「掛川蓬莱座」が2019年3月にオープンしました。

杮落とし公演の翌月、掛川蓬莱座を尋ねました。

kakegawa03.jpg
青春18きっぷを使って東京から約4時間、掛川駅に到着しました。

kakegawa05.jpg
まずは観光。掛川城へ。
秀吉が天下をとった後、山内一豊が掛川城に入りました。一豊は城下を整備し掛川城に天守閣をつくりました。その天守閣は1854年の大地震で損壊。天守閣は再建されることなく明治時代を迎え、掛川城は廃城となりました。
一帯は公園となっていましたが、掛川市民の熱意が実り1994年に140年ぶりに天守閣が再建されました。

kakegawa07.jpg
訪れた日は「掛川城公園さくらまつり」というイベントを開催していました。ここは桜の名所のようです。
晴天に聳える掛川城と桜。これ以上ない観光日和。

kakegawa10.jpg
掛川城天守閣から南(掛川駅方面)を眺める

kakegawa13.jpg
ちょうどこの日は、掛川蓬莱座にのっている花組むらさきが城下をお練りをする日でした。
10時30分、「こだわりっぱ」という掛川の名産品を集めた施設から出発。
花組むらさきの役者さんは全員女形。

kakegawa15.jpg
掛川城公園では多くの観光客と劇団員が触れ合っていました。
私も写真を撮らせてもらいました。

kakegawa16.jpg
お練り見学を終えて昼食。
はるばるここまでやって来ますと気分的にうなぎを食べたくなります。
ちょっと奮発してうなぎのお店へ。
デザートはメロン。

食事を終えて、掛川蓬莱座へ移動。
掛川蓬莱座は掛川駅の近く、徒歩3分くらいのところにあります。

kakegawa17.jpg
掛川蓬莱座

kakegawa18.jpg
入口
この扉から入って左に進み突き当たりが受付

kakegawa20.jpg
受付すぐ前が劇場入口です。
写真は劇場内から見た入口。
靴を脱いで劇場内に入るのは島田蓬莱座と同じですね。
リラックス気分で観劇するために「靴を脱ぐ」というのは大きなポイントだと思っています。

kakegawa23.jpg
劇場内
幕には掛川城と富士山が描かれています。

kakegawa25.jpg
それほど大きくない劇場ですが、しっかりした花道が設けられています。

kakegawa27.jpg
舞台目の前の座椅子席

kakegawa30.jpg
舞台前上手側にも座椅子席があります

座椅子席の後ろには低めの椅子席があります。

kakegawa33.jpg
後方はソファ席

kakegawa35.jpg
公演中の様子

kakegawa37.jpg
三代目南條のぼる座長と藤間美香の相舞踊

花組むらさきは島田蓬莱座にも何回かのっています。
南條のぼる座長が口上で島田蓬莱座のお客さんがこちらに来てくれると言っていました。
ここは駅から近いので東海道沿線の方は来やすいですね。

花組むらさきは芝居の演目予告を貼りだしていません。
また、「○○祭り」のような日を設けるのも好きではないよう。
私も大衆演劇は基本的にはそのスタンスでよいと思っています。

掛川蓬莱座での観劇を終え掛川駅へ。
また4時間かけて東京に帰ります。

kakegawa40.jpg
駅の売店前の通路に、タミヤのプラモデルが積まれたワゴンがありました。掛川にはタミヤのサーキット施設があるようですね。

kakegawa43.jpg
静岡県西部はメロンが名産です。
静岡のブランドマスクメロン、クラウンメロンの売店がありました。
メロンジュース500円。その場でミキサーで作ってくれます。

東海道線で往復約8時間。
普通運賃8,000円のところ、青春18きっぷ1回分(2,370円)の値段で旅できました。
座ることさえできれば、列車での長旅も楽しいものです。

島田に続いて掛川にもできた「蓬莱座」
静岡西部に旅芝居の拠点を作りたいというオーナーの情熱を感じました。
掛川城天守閣がすばらしい土地のシンボルになったように蓬莱座も静岡の旅芝居のシンボルとして認知度が上がってゆくとよいですね。

(2019年4月探訪)

新時代の温浴施設 そして大衆演劇“センター”の殿堂 「四日市温泉 おふろcafé 湯守座」

新時代の温浴施設 そして大衆演劇“センター”の殿堂 「四日市温泉 おふろcafé 湯守座」

大規模な大衆演劇用舞台を誇っていた三重県四日市市のセンター「天然温泉ユラックス」が、2017年11月「四日市温泉 おふろcafé 湯守座」としてリニューアルされました。

大衆演劇場はどのように変わったのでしょうか。
期待を胸に四日市までやってきました。

yumoriza03.jpg
無料送迎バスは、以前と同様、近鉄四日市駅西口のみずほ銀行南側から出ています。私は10時出発の便に乗りました。


yumoriza05.jpg
「四日市温泉 おふろcafé 湯守座」に着きました。
建物のフォルムはそんなに変わっていないはずですが、近代建築のようなかっこいい外観に。

yumoriza07.jpg
入口

営業開始時間近くとあって入口近くには多くのお客さんが。それを湯守座のスタッフが丁寧に対応していました。
もうこの時点で、この施設は接客やサービスのクオリティが高いのだろうなと予想がつきました。

yumoriza10.jpg
中に入ってびっくり。
キレイ!おしゃれ!
木を多用したクールでいて温もりもあるデザイン。

yumoriza13.jpg
中央にそびえる木のタワーがひときわ目立つ。
タワーは内部から登ることができて、くつろぎスペースもあります。

yumoriza15.jpg
2階の宙(そら)ラウンジ。
湯守座はゴロゴロくつろげるスペースがたくさんあります。
宙ラウンジはその象徴スペース。個室感・隠れ家感高い上段をマイスペースにしたかったけれど、空いてなさそうでした。みんな上段を狙うんだろうなぁ。

1階のオープンスペースにもいかにも寝そべりたくなるでかいソファがあるなど、この施設では「人の目を気にせず横になってくつろいでくださいね」という雰囲気が積極的に演出されている気がします。

yumoriza17.jpg
こんなフリースペースも。
雑誌のラインナップも豊富。

yumoriza20.jpg
「演劇グラフ」「KANGEKI」はもちろん「あっぱれ!旅役者列伝」等橋本正樹さんの著書も置いてあります。

yumoriza23.jpg
ブルジョワ気分が味わえそうなキッズスペース

yumoriza25.jpg
フリードリンクコーナー
コーヒーが無料で飲める!

観劇スペースは11時に開場します。
時間前になると観劇目当てのお客さんが並びます。

yumoriza27.jpg
スタイリッシュに生まれ変わった大衆演劇スペース

yumoriza30.jpg
最前列の席
昔の芝居小屋の枡席を想起するデザイン。
座椅子席の場合、足を伸ばせるかどうかは大きなポイント。
女性なら足を伸ばせるほどのスペースが確保されています。
この舞台間近の特別席は予約オンリーの有料席。

yumoriza33.jpg
その後ろのテーブル席。

yumoriza37.jpg
会場内にはいろんな高さ大きさの机・椅子が配置されています。
すべてのお客さんが観劇を楽しめるように入念に設計されているのでしょう。

yumoriza38.jpg
テーブル席では食事を注文することができます。
観劇スペースは食事処「花鳥游月」の一部という位置付けなのでしょうか。

yumoriza40.jpg
サイドのテーブル席。
こういう雰囲気で大衆演劇を楽しめるところはなかなかない。

yumoriza43.jpg
なんといっても素晴らしいのはこの高い天井と大きな舞台。
天井の装飾もいいですね。

yumoriza44.jpg
花道

yumoriza45.jpg
私は前回の四日市探訪の際に、四日市はビンゴ熱が高い、というイメージを持ちました。
湯守座ではほぼ毎日ビンゴをやっています。ビンゴの時間や内容は日によって異なります。
この日は11時からビンゴ開始。入館時にビンゴカードを1枚無料でもらいました。

大衆演劇昼の部は12時30分から。
お芝居→舞踊ショーの2部構成。
もちろん観劇料はナシ。入館した方なら誰でも無料で楽しめます。

yumoriza46.jpg
照明設備もいいのだろうか。いつものようにカメラ使っても他の劇場よりキレイに撮れてる気がする。

yumoriza47.jpg
公演中の様子

昼の部が終わってお風呂へ。
言うまでもなく、ここは大衆演劇場である前に温泉施設。
お風呂のこだわりもさすが!
いろんなお風呂があって楽しめます。体温に近い湯温の「不感温泉」が良かったな。湯の中で無になるというリフレッシュ。

私はセンターでマッサージマシンを見つけるとついやってしまう。相場は10分〜15分で200円〜300円でしょうか。
そんな私が驚いたのは、なんと湯守座では浴場入口近くにマッサージマシンがたくさん置いてあって無料で使えるのです!しかも私の好きな「あんま王」
湯守座さん、何から何まで素敵すぎます。

夜の部の前に夕食をとりました。

yumoriza50.jpg
四日市名物とんてき(豚肉のステーキ)をいただきました。

夜の部は19時から1時間の舞踊ショー。

私が事前情報で大変気になっていたのは客席スペースのサイドにある2階席。
ここはP席(プライム席)といって予約オンリーの有料席です。

夜の部はこちらから観劇しました。

yumoriza53.jpg
P席

yumoriza55.jpg
上からなので舞台がすべてよく見えます。

yumoriza57.jpg
この日P席には私以外いなかったので、一瞬だけ場所を移動してみました。舞台最寄りのP席は役者が間近。で、舞台上がとてもよく見える。このアングルで大衆演劇が見られるのはここだけでしょう。

「四日市温泉 おふろcafe湯守座」には何から何まで賞賛したくなります。
さて、質において文句の言いようがないこの施設、気になる入館料は?
一般料金1380円
会員料金1200円
安い!
この料金でやっていけるのですか湯守座さん!?

大衆演劇場を“劇場”と“センター”に二分したとして、
私が今までに訪れたことのあるセンターの中では私の評価はナンバーワン。センターの命である舞台・客席もそれ以外も抜群のクオリティ。
個人的に殿堂の称号を差し上げたいです。

私がこれまで見てきたセンターは多くが昭和な朴訥さが残りどこかにしわしわ感がある施設でした。
湯守座は新しい時代の温浴施設だと思います。
特に、「清潔感がありキレイ」と「ゴロゴロしやすい」を両立しているところが素晴らしい。
これからの時代はどのセンターもこの両立、すなわち老若男女誰もがが気兼ねなくゴロゴロくつろげることがカギだと私は思っています。

おふろcafeブランドを運営している温泉道場グループさんには是非今後も大衆演劇センターを手がけていただきたいと希望を抱いております。

(2018年11月探訪)

次郎長ゆかりの地、清水の駅前商店街にできたコンパクトな劇場 「清水ヒカリ座」

次郎長ゆかりの地、清水の駅前商店街にできたコンパクトな劇場 「清水ヒカリ座」

昭和の初期に広沢虎造の浪曲「清水次郎長」が爆発的人気を呼び、次郎長伝は国民的物語となりました。
それから時を経て現在、一般人の知名度は世代が若くなるにつれてどんどん低くなってしまっているようですけれども、大衆演劇では今も定番演目として受け継がれています。

清水一家の大親分清水次郎長、本名山本長五郎は実在の人物。もちろん生まれは駿河の国の清水町。

そんな次郎長ゆかりの地、清水に新しい大衆演劇場が誕生しました。
2018年11月、オープンしたばかりの「清水ヒカリ座」を訪ねました。

hikari03.jpg
清水駅到着

hikari05.jpg
清水駅の西口(江尻口)から出ます

hikari07.jpg
駅前すぐに入口がある清水駅前商店街
この商店街を進むと右手に清水ヒカリ座があります。

hikari10.jpg
この写真は駅前とは反対側の商店街入口から歩いてきたときの写真。
清水ヒカリ座が左手に見えます。

hikari13.jpg
清水ヒカリ座

hikari15.jpg
駅前商店街のレンタサイクル。
清水ヒカリ座はその受付もやっているよう。

hikari17.jpg
入口入って左手に受付。
写真は入口入って正面の様子。
前方左手にお手洗い。右手に演劇場。
劇場仕様でない物件を劇場に転用する場合、当然工夫が必要になります。その手作り感がその劇場の味わいになります。清水ヒカリ座もに劇場つくりへの思いが感じられます。

hikari20.jpg
演劇場入口。
劇場内では靴を脱ぐので履物は下足箱へ。

hikari23.jpg
劇場後方より

hikari25.jpg
前方の座椅子席
その後ろに高さの低い椅子

hikari27.jpg
その後方の椅子

hikari30.jpg
舞台
舞台は客席よりもちょっとしか高くない。
天井が高くないから仕方がない。

舞台の横幅もあまり広くありません。
コンパクトな劇場です。

hikari33.jpg
花道がしつらえてあります。

hikari35.jpg
貸し毛布

hikari37.jpg
公演中の様子
前の席にお客さんがいなければ、まあまあ舞台上が見えますが

hikari40.jpg
前の席に背の高いお客さんが座るとツライ。
観劇時の視界が特に気になってしまう方は、300円の予約料を払って前の方の座席を確保するとよいでしょう。

清水には清水次郎長に対する愛着が深い方が多いでしょう。大衆演芸における次郎長伝の世界観への親しみも強いことでしょう。清水は大衆演劇が受け入れられやすい土地柄なのではないでしょうか。
とはいえ、毎日昼と夜の2公演で運営するのは大変(特に平日夜の集客)かなと思います。今後どれだけ清水の方々に大衆演劇が広まってゆくか注目しています。
いつか清水ヒカリ座で次郎長伝の芝居を観てみたいなと思います。

今回の旅は時間の都合上、清水では劇場にしか寄りませんでした。
清水には次郎長ゆかりのスポットがいくつもあります。
それをめぐる旅レポートは別ブログに書きましたのでそちらをご覧ください。
→「青春18きっぷで清水に行って次郎長ゆかりの地をめぐる旅レポート

大衆演劇の秘境 玄界灘に臨む旅館で半世紀続く旅芝居 「初潮旅館」

大衆演劇の秘境 玄界灘に臨む旅館で半世紀続く旅芝居 「初潮旅館」

今回は福岡県糸島市を旅します。
糸島市HPにはこう書かれています。
「中国の歴史書『魏志倭人伝』に記されている『伊都国』があった地です。大陸との玄関口として古くから文化が栄え、農耕が営まれ、さまざまな史跡・遺跡などが今なお各所に残されています。」

糸島市は、東に福岡市、北から西にかけて玄界灘、南から西にかけては佐賀県に接しているという立地にあります。
糸島市には163の行政区があり、その最西端、佐賀県唐津市に隣接しているのが鹿家(しかか)行政区。
その鹿家の海岸沿いに1956年に開業した老舗の旅館があります。
それが今回訪ねる「初潮旅館(はつしおりょかん)」です。

私は過去に初潮旅館探訪を試みたことがあります。
九州旅行の何日か前に電話で旅館に「○月○日に大衆演劇公演はありますか」と訪ねたところ、「わからない」という回答。団体予約が入らないと公演開催が確定しないという事情だったのでしょうけれども、私は公演を断念することとなりました。
初潮旅館はホームページもなく、ネット上にほとんど情報があがっておらず、私にとっては強く探訪欲をかきたてられる謎の大衆演劇場でした。
ところが近年、情報満載の初潮旅館ホームページが開設されました。
(さらに2019年1月から初潮旅館の女将がツイッターを初めて公演情報をこまめに更新してくれています)
今回私は、あるお客さんが旅館に掲出されている「公演スケジュール」の写真をツイッターにアップしているのを確認して探訪日を決めました。公演予定となっている日でも団体予約がゼロだったら中止になるかも知れないので、念のため前日に旅館に確認の電話を入れました。

東京から空路で福岡へ。ここから初潮旅館の最寄駅、筑肥線鹿家駅を目指します。福岡空港駅を起点とする地下鉄空港線は、福岡と佐賀を結ぶJR筑肥線と直通運転をしています。福岡空港駅から約1時間20分、1回の乗り換えだけで鹿家駅に到着しました。

hatsushio03.jpg
鹿家駅。
スタジオジブリのアニメにでてきそうな緑に囲まれた無人駅。

hatsushio04.jpg
この上なく簡素な駅舎

hatsushio05.jpg
辺りには何もお店がない、と思いきや駅前にある家の1階が、何の看板も出ていないけれども商店となっているようでした。

hatsushio07.jpg
地域のコミュニティバスのバス停。
1日2便でています。でも来るのは毎週火曜日のみ・・・。

想像以上に田舎だな・・・と思いつつ旅館を目指して歩き出す。

hatsushio10.jpg
鹿家駅から歩いて10分弱、初潮旅館が見えてきました。

hatsushio13.jpg
別のアングルから
「只今劇団公演中」の赤いのぼりが見えます。

だいぶ早く着きましたので、旅館に入る前に散策します。
国道を東へ、海がよく見える場所まで歩きました。

hatsushio15.jpg
山と海にはさまれた鹿家の集落が見えます。
写真中央のオレンジっぽい色の屋根の横長の建物が初潮旅館

hatsushio17.jpg
初潮旅館近くの砂浜から。
ご覧のとおり初潮旅館は海水浴場に隣接しています。
7月・8月は多くの海水浴客で賑わうことでしょう。
ですから、大衆演劇公演は海水浴シーズンを除く、春(2~6月)と秋(9~11月)の2シーズン、年に8ヶ月間行われます。

hatsushio20.jpg
旅館入口
まだ開演時間の2時間半前でした。
ここでふと浮かんだ疑問。
劇場の場合は開場時間になれば中に入ることができる。
健康ランドのようなセンターの場合はその施設の利用客として営業開始時間以降に入場すればよい。
旅館での公演の場合、何時から受付してくれるのか?
とりあえず中に入ってみます。

hatsushio23.jpg
旅館のロビー
数人のお客さんがくつろいでいました。
フロントと思われる場所にスタッフらしき方はいない。
とりあえずロビーで待っていようとソファに身を沈めました。

やがて地元のおばあちゃんが旅館にやってきました。おばあちゃんがフロントで受付しているのを見て、私も続いて受付しました。
地元以外の人が(しかも男性が一人で)観劇に来るのはかなり珍しいようでした。何か食事をとることができないか訪ねると、親子丼を用意できるとのこと。私は、お風呂にゆっくり入った後くらいの時間に食事を出してもらうようお願いして、観劇料と食事代を支払いました。

hatsushio25.jpg
お風呂の前に公演場所を確認しておきたい。
1階の廊下を進みます。

hatsushio26.jpg
お風呂入口。その向こうに演芸場入口。

hatsushio27.jpg
演芸場

hatsushio30.jpg
演芸場前方
椅子席最前列と舞台の間にスペースがある。ここも座布団を敷いて席の確保ができるよう。劇団ファンと思われる方がすでに座布団に私物を置いて座席確保していました。

私も椅子席に私物を置いて座席確保してからお風呂タイム。
旅館の目の前は海水浴場です。お風呂には外扉もあって、海水浴場から直接お風呂場に入れる仕組みになっています。

hatsushio33.jpg
お風呂から上がってロビーでくつろぎます。新聞の切り抜きが置いてありました。いつの何新聞かはわかりませんが「大衆演劇の秘境でござる」「上演半世紀 口コミで人気」というタイトルで初潮旅館を紹介した記事です。
開業当初は浪曲公演が好評で、約10年後に大衆演劇公演を始めた。
初潮旅館は福岡と佐賀の老人クラブ連合会の指定旅館で利用者の8割が高齢の団体客。
といったことが書いてあり、最後にここの舞台にも立ったという玄海竜二さんのコメントが載っています。「劇場が減る中、変わらぬ雰囲気で続けられるのはなぜなのか。僕も不思議でたまらない。大衆演劇にとっての秘境でしょうね」

玄海竜二さんの指摘のとおり、ここは大衆演劇場としては、現代においては(昔ながらの姿が残っているという意味で)稀有な雰囲気を持っている。
団体客の他には、ご高齢の地元の方が、公民館に集うかのようにやってきてしゃべっている。受付は自己申告制な感じ。観劇チケットもない。ゆるーい場。ゆるーい時間の流れ。

hatsushio35.jpg
やがて旅館の方がロビーまで私の昼食を持ってきてくれました。
親子丼、お味噌汁、お新香、お茶セット。
窓辺の席で海を眺めながらいただきました。

旅館のスタッフはみなさんアットホーム。

hatsushio37.jpg
開演時間が近づきますと団体のお客さんが劇場に入ってきます。
13時30分開演。
第一部はお芝居、第二部は舞踊ショーの2時間公演です。

hatsushio40.jpg
この日の公演は劇団しらさぎ三兄妹
劇団責任者 あまつ秀二郎、その妻 あまつ梢、長男 あまつ慎祐、次男 あまつ祐作、末っ子 あまつ祐香
という5人によるザ・ファミリー劇団。

劇団のみなさんを写真で紹介したいのですが、
舞踊の写真をブログにアップしてよいか確認するのを失念しました。。。

hatsushio41.jpg
初潮旅館に貼ってあった劇団紹介写真。

劇団しらさぎ三兄妹は2019年3月に体制がかわりました。
長男、次男が座長に昇格し、二人座長となり、劇団名は「劇団しらさぎ」になります。
兄のあまつ慎祐はあまつ殿下と名を変えて座長になりました。

この日の口上挨拶はあまつ祐作さんでした。
劇団しらさぎ三兄妹は初潮旅館ではお馴染みの劇団で、春シーズンの5ヶ月間をまるまる受け持ったこともあるそうです。
なので、地元の同級生と接する時間も多く、この辺りには仲の良い友達が多いよう。
小さい頃初潮旅館の演芸場で遊んだ思い出などを語ってくれました。

hatsushio42.jpg
旅館に貼りだされていた公演スケジュール。

公演が終わると、団体客は旅館前に手配してあった送迎バスに乗り込みました。
私はもう一度鹿家の集落を散策してから駅に向かいました。

hatsushio43.jpg
JR筑肥線の車窓から見えた初潮旅館

この立地で半世紀にわたって大衆演劇公演が続いているのは本当にすごいことだと思います。

時代はめまぐるしく変化しています。大衆演劇という文化も今現在ひとつの過渡期を迎えているでしょう。
でも初潮旅館にはとてもゆっくりした時間が流れています。人の心の温かさに身を委ねているような居心地の良さがある。
初潮旅館はいつまでも大衆演劇の秘境であり続けるでしょう。


(2019年10月探訪)

喜多方の奥座敷 熱塩温泉で30年続く大衆演劇公演 「ホテルふじや」

喜多方の奥座敷 熱塩温泉で30年続く大衆演劇公演 「ホテルふじや」

今回は福島県喜多方市にある大衆演劇場の探訪です。喜多方ラーメンの店は東京でよく目にしますけれども、実際に喜多方に来たのは初めてでした。

fujiya03.jpg
喜多方駅の北方、街の中心地の目抜き通りふれあい通り。

fujiya05.jpg
喜多方は蔵のまち。
あちこちに昔ながらの蔵が残っています。
写真は新聞配達のお店のようでした。

fujiya07.jpg
水と米がおいしい喜多方は酒づくりもさかん

大和川酒造は老舗の酒蔵で予約なしても無料で見学や試飲ができます。
ぶらりと寄ってみました。古い蔵の中を係のおねえさんが案内してくれました。
試飲コーナーでは無料試飲の他に特別なお酒を有料で飲むことができます。
「純米大吟醸いのち」は感動的な美味しさでした。有料試飲はぜったいオススメです。

ホテルふじやに連絡して、大和川酒造まで車で迎えてに来ていただくことになりました。

喜多方駅から北方に約10キロのところに熱塩温泉という温泉地があります。
ホテルふじやはここに古くからある温泉旅館。
宿の車で送迎いただいた後に、あたりを少し散歩しました。

fujiya10.jpg
喜多方の目抜き通りを北に進み市街地を抜けると山の景色が目立つようになります。
この交差点を右に曲がると熱塩温泉。温泉街、、ではありますが温泉旅館は多くありません。私が確認した限りホームページを開設している宿は3軒でした。

fujiya13.jpg
かなり昔からあるのだろう看板

fujiya16.jpg
元湯にあった案内板。
熱塩温泉は700年前に源翁禅師という禅僧によって開かれた温泉で、元湯は寺の管轄であったそう。大変歴史がある温泉なのですね。今もその寺、示現寺はありますが、住職は住んでおらず通いのようです。

fujiya15.jpg
示現寺の参道より。
正面奥に見える建物がホテルふじや。
その手前にある小さい焦茶色の小屋が元湯。

fujiya17.jpg
ホテルふじや入口
左の建物はふじやの別館

fujiya20.jpg
ふじやの入口を内部から。
レッドカーペットの先がフロント。

fujiya23.jpg
宿泊室

fujiya25.jpg
部屋の中にある洗面台。昭和を感じる。

夕食時間までお風呂に入りました。
観音風呂(湯船に観音像がある)と壁画風呂(観音様の絵が描いてある)があり、時間により男湯と女湯が入れ替わります。
色のついたしょっぱさのある温泉です。

fujiya27.jpg
夕食。会津と米沢の田舎料理が主体の献立。
福島郷土料理「イカ人参」/蕪と菊の酢の物/胡桃えび/ボエムのえごま和え/山形名物酢ごぼう/車麩の煮物/若鮎の一夜干し/会津名物「馬刺し」/季節野菜ときすの天婦羅/地元野菜の柚子鍋 などなど。どうです、素敵な旅の食事でしょう?
また、自家栽培の無農薬野菜を使っているのもポイント高い。

fujiya30.jpg
一夜明けて翌朝。
朝食会場は宴会場亀鶴でした。

fujiya33.jpg
ご覧のとおり、大衆演劇公演が行われる部屋での朝食でした。

fujiya35.jpg
お客さんの朝食時間が終わると、宴会場に公演用の椅子が並べられます。

fujiya37.jpg
舞台前から見た客席

fujiya40.jpg
舞台

大衆演劇公演は午前中の10:00~12:00の2時間です。
宿の精算を済ませて宴会場で開演を待ちました。
この日は平日でしたがお客さんがそれなりに入っていました。
宿泊客だけでなく、公演だけ見に来るお客さんもいます。

この日は劇団戸田の公演。
今年は、2/1~4/30の3ヶ月間は劇団戸田が公演を受け持っています。

10時、公演開始。
珍しいことに、第1部舞踊ショー、第2部芝居という2部構成でした。

fujiya_yukari.jpg
戸田ゆかり座長

fujiya_rin.jpg
花形 戸田凛

fujiya_yuta.jpg
戸田ゆうた
喜多方生まれ

劇団戸田がホテルふじやに乗るのは19年ぶり。当時ゆかり座長は身ごもっていて大きなお腹で舞台に上がっていたそう。
ふじやでの公演期間中に戸田ゆうたを出産しました。宿のスタッフがかわるがわるゆうた君の面倒のみたのだとか。

fujiya_momomi.jpg
戸田ももみ

fujiya_suzuka.jpg
戸城紗蘭(すずか)
まだ入団3ヶ月

fujiya_kaichou.jpg
第1部では、ホテルふじやの会長も登場。
会長の歌にあわせてゆかり座長が踊りました。

fujiya53.jpg
第2部お芝居が終わり、終演のご挨拶。

fujiya55.jpg
熱塩温泉のしょっぱさのある源泉70度の温泉で作られた温泉卵をおみやげにたくさん買いました。

帰りもホテルから宿の方が送迎してくれました。
来るときに送迎いただいた方から、おすすめの喜多方ラーメンの店を聞いていました。
帰りはその店まで車で送っていただきました。

fujiya57.jpg
その喜多方ラーメンのお店の名は「天高盛(てんこもり)」
喜多方駅の観光案内所に置いてある喜多方老麺会のガイドマップ(36のラーメン店が紹介されている)には掲載されていないお店です。平日の昼間でしたが地元の方が続々と入店してきます。
メニューは「らーめん」と「半チャーシュー丼」のみ。ラーメンは化学調味料を使わず、やさしい味わいでうす味。
メニューには書いていないけれども「スペシャル」と注文するとチャーシューを刻んだ状態で盛り付けてくれる。こうすると肉のうまみがスープに溶けるのだとか。私はスペシャル、妻はスペシャルの濃いめを頼みました。とても美味しかったです。初めての方はスペシャル濃いめを注文すると良いと思います。
ラーメンをいただいた後、喜多方駅まで歩き、帰路につきました。

30年も大衆演劇公演が続いているのは、ホテルふじやさんが地元の方に愛される努力を続けてきたからでしょう。本当にアットホームでくつろげる宿でした。
蔵の街並み、ラーメン、日本酒、郷土料理、温泉、そして旅芝居。喜多方観光&ホテルふじや宿泊はとってもおすすめの旅プランです。

(2019年2月探訪)
プロフィール

notarico

Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR