斜陽の町に今も残る娯楽場 「三条東映」
新潟県にある大衆演劇場「三条東映」は、JR弥彦線北三条駅とJR信越本線三条駅の間、三条中央商店街にあります。

三条駅から北へ歩く。五十嵐川を渡る橋にさしかかると、河原の向こうにいかにも古そうな大きなビルが目にはいります。
あの建物に三条東映はあります。

三条の商店街。見ての通りうらさびれた雰囲気。
このあたりは江戸時代から信濃川の水運による商業地として栄えていたそうです。昭和4,50年代も三条市や近隣の市民の買い物の場所として賑わっていたよう。
ところが近年になって、郊外に広い駐車場を持つ大型店舗があらわれだしてからは、商店街は衰退の一途をたどっているようです。

こんな看板も一昔前の風情。

燕三条地域ではラーメンが、またこのあたりはカレーラーメンがご当地グルメと聞いてラーメン屋を探すも見当たりません。先入観としてご当地料理は商店街に集まっているだろうと思っていたのですが、どうも市内に点在しているかんじのようです。
裏道にひっそりと経営しているラーメン屋をやっとみつけ入りました。

時の流れに晒されている街角。

このビルの3階に三条東映はあります。

演劇場があることを知らせているのは入口横の看板だけ。

この看板は昔のままのようです。

三条東映の木戸銭は1800円。大衆演劇の相場より高いです。映画館の入場料に合わせているのでしょうか。
建物の並び交差点の角にあるパン屋さんで前売券を置いていたのでそこで求めました。前売券は相場の1500円。ちなみにこのパン屋さんのパンは昔ながらの味でとてもおいしい。観劇のお供には最適です。

さて、いよいよ建物の中へ。エレベーターで3階に上がってすぐ受付があります。

劇場入口前のロビー。
過去公演の座長の色紙などが飾ってあります。
壁に平成17年9月20日の新潟日報の新聞記事が貼ってありました。以下のようなことが書かれています。
三条東映は大正時代から続く映画館。
近郊に進出した複合型映画館の圧倒的な集客力におされて2000年に閉鎖。
経営者の中川さん(69)が名古屋市の興行師から演劇場への転換を勧められた。
当時県内に劇場はなく経営の見通しは未知数であったが、妻の絹子さんが乗り気で「半ば夫婦で余生を楽しむつもり」で中川さんが転換を決断した。スクリーンと座席二十席余りを撤去し、舞台とささやかな花道を設けて2002年に大衆演劇場三条東映に生まれ変わった。
なるほど、この「商業的な雰囲気のなさ」のゆえんがわかります。外の空気も中の空気も同じ、日常に溶け込んだ娯楽場です。
新聞記事の写真に、
「行商の合間の寄り道や、家族に内証で毎日通う人もいる」
というコメントも添えられていました。こういう客層は大衆演劇ならではですね。それよりこの行商っていうのがどんなものなのかが気になります。

場内。すっかり大衆演劇場の雰囲気です。
もと映画館だけあって、座ってみると前の席の人の頭が気になることなく舞台が見えて、座り心地もよい。
見心地のよさではレベルの高い劇場だと思いました。

前方から後方を見た絵は映画館。のようですが、ハンケチで場所取りするのはやはり大衆演劇場ですね。

改修して取り付けたのだろう舞台。

同じく花道。
お客さんの入りは少なかったけれども、その分とてもアットホーム。
この日は開演前に役者さんが何人も客席に来て、お客さんひとりひとりに声をかけながら握手していました。
このような小さな劇場も大衆演劇の世界を支える大事な存在です。
三条東映が常連さんに愛されながら存続してゆくことを、そして三条商店街が活気を取り戻してゆくことを願っています。
(2011年11月)

三条駅から北へ歩く。五十嵐川を渡る橋にさしかかると、河原の向こうにいかにも古そうな大きなビルが目にはいります。
あの建物に三条東映はあります。

三条の商店街。見ての通りうらさびれた雰囲気。
このあたりは江戸時代から信濃川の水運による商業地として栄えていたそうです。昭和4,50年代も三条市や近隣の市民の買い物の場所として賑わっていたよう。
ところが近年になって、郊外に広い駐車場を持つ大型店舗があらわれだしてからは、商店街は衰退の一途をたどっているようです。

こんな看板も一昔前の風情。

燕三条地域ではラーメンが、またこのあたりはカレーラーメンがご当地グルメと聞いてラーメン屋を探すも見当たりません。先入観としてご当地料理は商店街に集まっているだろうと思っていたのですが、どうも市内に点在しているかんじのようです。
裏道にひっそりと経営しているラーメン屋をやっとみつけ入りました。

時の流れに晒されている街角。

このビルの3階に三条東映はあります。

演劇場があることを知らせているのは入口横の看板だけ。

この看板は昔のままのようです。

三条東映の木戸銭は1800円。大衆演劇の相場より高いです。映画館の入場料に合わせているのでしょうか。
建物の並び交差点の角にあるパン屋さんで前売券を置いていたのでそこで求めました。前売券は相場の1500円。ちなみにこのパン屋さんのパンは昔ながらの味でとてもおいしい。観劇のお供には最適です。

さて、いよいよ建物の中へ。エレベーターで3階に上がってすぐ受付があります。

劇場入口前のロビー。
過去公演の座長の色紙などが飾ってあります。
壁に平成17年9月20日の新潟日報の新聞記事が貼ってありました。以下のようなことが書かれています。
三条東映は大正時代から続く映画館。
近郊に進出した複合型映画館の圧倒的な集客力におされて2000年に閉鎖。
経営者の中川さん(69)が名古屋市の興行師から演劇場への転換を勧められた。
当時県内に劇場はなく経営の見通しは未知数であったが、妻の絹子さんが乗り気で「半ば夫婦で余生を楽しむつもり」で中川さんが転換を決断した。スクリーンと座席二十席余りを撤去し、舞台とささやかな花道を設けて2002年に大衆演劇場三条東映に生まれ変わった。
なるほど、この「商業的な雰囲気のなさ」のゆえんがわかります。外の空気も中の空気も同じ、日常に溶け込んだ娯楽場です。
新聞記事の写真に、
「行商の合間の寄り道や、家族に内証で毎日通う人もいる」
というコメントも添えられていました。こういう客層は大衆演劇ならではですね。それよりこの行商っていうのがどんなものなのかが気になります。

場内。すっかり大衆演劇場の雰囲気です。
もと映画館だけあって、座ってみると前の席の人の頭が気になることなく舞台が見えて、座り心地もよい。
見心地のよさではレベルの高い劇場だと思いました。

前方から後方を見た絵は映画館。のようですが、ハンケチで場所取りするのはやはり大衆演劇場ですね。

改修して取り付けたのだろう舞台。

同じく花道。
お客さんの入りは少なかったけれども、その分とてもアットホーム。
この日は開演前に役者さんが何人も客席に来て、お客さんひとりひとりに声をかけながら握手していました。
このような小さな劇場も大衆演劇の世界を支える大事な存在です。
三条東映が常連さんに愛されながら存続してゆくことを、そして三条商店街が活気を取り戻してゆくことを願っています。
(2011年11月)