長崎街道の宿場町から工業の拠点に発展した後衰退しつつある街に活気を呼び戻す劇場 「黒崎新劇座」
長崎街道の宿場町から工業の拠点に発展した後衰退しつつある街に活気を呼び戻す劇場 「黒崎新劇座」
今回は2022年4月にオープンした福岡県北九州市の大衆演劇場「黒崎新劇座」を訪ねます。
紅あきら同魂会会長がオーナーの博多新劇座の姉妹店ですね。

博多駅からJR鹿児島本線に乗って約1時間、黒崎駅に着きました。
黒崎は福岡県北九州市八幡西区にある街。
北九州市にある区の中で八幡西区は一番人口が多く、黒崎は北九州市の副都心といった位置づけにあります。

駅前の目抜き通り。
都会らしく駅の周りには大きなビルがいくつも見えます。
ここで黒崎という土地の歴史をひもといてみましょう。
徳川幕府は1615年に武家諸法度で参勤交代を義務付けます。
これを機に全国の交通整備が進み、五街道をはじめ多くの街道が整備されました。
長崎街道もその一つです。
長崎街道は、鎖国下で唯一外国に開かれた長崎から小倉を結んでおり、幕府への献上品として異国の品物や文化を運ぶ重要な道でした。
参勤交代の制度が確立した寛永年間(1624~1644)に長崎街道の黒崎宿が整備されました。
黒崎宿は大規模に発展し、大名が宿泊する本陣や脇本陣、旅籠、関所、人馬継所などの施設が整っていました。

江戸時代の黒崎宿絵図

明治以降は周辺の工業の発達に伴い都市化が進みました。
戦後さらに人口が増加し、駅前に大きな商店街が形成されました。

黒崎駅南東部に大きなアーケード商店街が広がっています。
しかし商店街の中の活気はいまいち。
日本全国ほどんどの商店街は衰退してゆく傾向にあります。
黒崎の商店街も同じ宿命にあるでしょう。
2020年には駅前にあった百貨店が閉店したそうです。

商店街のいたるところに昭和の雰囲気が残されています。

楽しいお買物の街 寿通り
レトロな商店街を散歩しているうちに黒崎新劇座の開場時間がせまってきました。
劇場に向かいます。

商店街のアーケード抜けて少し東に行くと黒崎新劇座が入っているビルが見つかりました。

別の角度から見た建物

お向かいには「ニュー紳士街」というこれまたレトロなスナック街がありました。

先ほどの建物の1階に黒崎新劇座があります。
元は映画館だった場所を改装してできた劇場です。

入口横の掲示
この日は、恋瀬川翔炎座長率いる飛翔座の公演。

劇場に入って右手に券売機があります。
この日は恋瀬川キャビア祭りということで特別料金(通常2000円のところ2500円)となっていました。
入場時のみに券売機のすぐ前に臨時でカウンターが設置されますので、そこのスタッフに購入したチケットを渡します。

券売機の奥にミニ売店があります。
お菓子の他にサンドイッチも売っていました。
ビールもあります。

弁当 550えん~600えん
ほっとこーひー 300えん
和雑貨各種 500えん~1500えん
びん各種 500えん~2000えん
2000円の瓶って何だろう。

休憩スペース
ここで食事をとることができます。

では劇場の中へ

場内右後方より

座席表

場内後方より

前方
花道はありません

座席は映画館時代のものをそのまま使っているよう。
なので座り心地はよいです。

劇場後方の壁に設けられた席

劇場を横から見たところ
客席に傾斜がついているのがわかるかと思います。

ちゃんと1列づつ段になっています。
この日は補助席も出ていました。

演目の貼りだし。
ちゃんと筆で書いてあるのいいですね。
この公演は平日にもかかわらず大変多くのお客さんが詰めかけました。
座席は満員で補助席にまでお客さんがいます。
飛翔座の人気、恋瀬川キャビア若座長の人気はすごいな。
というか黒崎という土地の大衆演劇熱の高さに驚きました。
黒崎にも70年ほど前には大衆演劇場があったそうです。
12時、昼の部が開演しました。
第一部 ショー
第二部 芝居
第三部 ショー

恋瀬川翔炎座長

恋瀬川キャビア若座長の女形
1部と2部の間に劇場スタッフが「ゴミはありませんかー」と客席を回っていました。また、売店で売れ残ったサンドイッチを劇場内で販売していました。
2部の後には劇場内でコーヒーを売っていました。
スタッフに活気があって、よく働く。よい劇場であることの証です。

この日のキャビア祭りの中で私を一番感嘆させたのは「どろろ」という舞踊。
20以上の変面ショー。圧巻でした。

舞踊ショーの様子
飛翔座の公演を観終わって劇場を出ました。
この日、夕食をどうするか旅行の前にリサーチしていました。
黒崎の商店街にとても評判のよい「魚虎」という居酒屋があることがわかりました。

商店街のはずれの細い通路にひっそりと存在している名店「魚虎」
ネット記事によると金土日は半年先まで予約が埋まっているそう。
私は旅行前にダメもとで電話してみましたが、やはり予約はとれませんでした。
ということで、私は黒崎第二の選択肢、「田舎庵」に行くことにしました。
「田舎庵」といえば博多の駅ビルにテイクアウト店も出店している小倉のうなぎの名店を思い出しますが、どうも黒崎の「田舎庵」は小倉本店の系列店や姉妹店という位置づけではないようです。

黒崎 田舎庵 日日屋
せっかくなので「せいろ蒸しコース」6,200円を注文しました。
せいろ蒸しは福岡県柳川市を発祥とする郷土料理。
うな重とは違い、ご飯にうなぎのかば焼きと錦糸卵を乗せてせいろで蒸して作られます。
(コース内容)
冷酒・明太子・うざく・肝焼・鰻寿司・せいろ蒸し・デザート

せいろ蒸し
美味しい!うなぎの皮はパリパリで香ばしい。身はふわっとしている。ご飯は蒸したてであつあつホクホク。タレが甘すぎない。後味がじわじわやってきて、食べた後に旨さを感じる。
この後デザートとして、アイスクリーム、すいか、メロンがでました。
黒崎グルメを堪能して宿をとっている博多に移動しました。
黒崎新劇座はとてもよい大衆演劇場でした。
令和の世になってもこのような素晴らしい劇場が誕生するのは、大衆演劇の未来にとってとても心強いことです。
こんど黒崎に来たときは、博多新劇座から魚虎へ移動するコースをやりたいなあ、、
(2023年5月探訪)
今回は2022年4月にオープンした福岡県北九州市の大衆演劇場「黒崎新劇座」を訪ねます。
紅あきら同魂会会長がオーナーの博多新劇座の姉妹店ですね。

博多駅からJR鹿児島本線に乗って約1時間、黒崎駅に着きました。
黒崎は福岡県北九州市八幡西区にある街。
北九州市にある区の中で八幡西区は一番人口が多く、黒崎は北九州市の副都心といった位置づけにあります。

駅前の目抜き通り。
都会らしく駅の周りには大きなビルがいくつも見えます。
ここで黒崎という土地の歴史をひもといてみましょう。
徳川幕府は1615年に武家諸法度で参勤交代を義務付けます。
これを機に全国の交通整備が進み、五街道をはじめ多くの街道が整備されました。
長崎街道もその一つです。
長崎街道は、鎖国下で唯一外国に開かれた長崎から小倉を結んでおり、幕府への献上品として異国の品物や文化を運ぶ重要な道でした。
参勤交代の制度が確立した寛永年間(1624~1644)に長崎街道の黒崎宿が整備されました。
黒崎宿は大規模に発展し、大名が宿泊する本陣や脇本陣、旅籠、関所、人馬継所などの施設が整っていました。

江戸時代の黒崎宿絵図

明治以降は周辺の工業の発達に伴い都市化が進みました。
戦後さらに人口が増加し、駅前に大きな商店街が形成されました。

黒崎駅南東部に大きなアーケード商店街が広がっています。
しかし商店街の中の活気はいまいち。
日本全国ほどんどの商店街は衰退してゆく傾向にあります。
黒崎の商店街も同じ宿命にあるでしょう。
2020年には駅前にあった百貨店が閉店したそうです。

商店街のいたるところに昭和の雰囲気が残されています。

楽しいお買物の街 寿通り
レトロな商店街を散歩しているうちに黒崎新劇座の開場時間がせまってきました。
劇場に向かいます。

商店街のアーケード抜けて少し東に行くと黒崎新劇座が入っているビルが見つかりました。

別の角度から見た建物

お向かいには「ニュー紳士街」というこれまたレトロなスナック街がありました。

先ほどの建物の1階に黒崎新劇座があります。
元は映画館だった場所を改装してできた劇場です。

入口横の掲示
この日は、恋瀬川翔炎座長率いる飛翔座の公演。

劇場に入って右手に券売機があります。
この日は恋瀬川キャビア祭りということで特別料金(通常2000円のところ2500円)となっていました。
入場時のみに券売機のすぐ前に臨時でカウンターが設置されますので、そこのスタッフに購入したチケットを渡します。

券売機の奥にミニ売店があります。
お菓子の他にサンドイッチも売っていました。
ビールもあります。

弁当 550えん~600えん
ほっとこーひー 300えん
和雑貨各種 500えん~1500えん
びん各種 500えん~2000えん
2000円の瓶って何だろう。

休憩スペース
ここで食事をとることができます。

では劇場の中へ

場内右後方より

座席表

場内後方より

前方
花道はありません

座席は映画館時代のものをそのまま使っているよう。
なので座り心地はよいです。

劇場後方の壁に設けられた席

劇場を横から見たところ
客席に傾斜がついているのがわかるかと思います。

ちゃんと1列づつ段になっています。
この日は補助席も出ていました。

演目の貼りだし。
ちゃんと筆で書いてあるのいいですね。
この公演は平日にもかかわらず大変多くのお客さんが詰めかけました。
座席は満員で補助席にまでお客さんがいます。
飛翔座の人気、恋瀬川キャビア若座長の人気はすごいな。
というか黒崎という土地の大衆演劇熱の高さに驚きました。
黒崎にも70年ほど前には大衆演劇場があったそうです。
12時、昼の部が開演しました。
第一部 ショー
第二部 芝居
第三部 ショー

恋瀬川翔炎座長

恋瀬川キャビア若座長の女形
1部と2部の間に劇場スタッフが「ゴミはありませんかー」と客席を回っていました。また、売店で売れ残ったサンドイッチを劇場内で販売していました。
2部の後には劇場内でコーヒーを売っていました。
スタッフに活気があって、よく働く。よい劇場であることの証です。

この日のキャビア祭りの中で私を一番感嘆させたのは「どろろ」という舞踊。
20以上の変面ショー。圧巻でした。

舞踊ショーの様子
飛翔座の公演を観終わって劇場を出ました。
この日、夕食をどうするか旅行の前にリサーチしていました。
黒崎の商店街にとても評判のよい「魚虎」という居酒屋があることがわかりました。

商店街のはずれの細い通路にひっそりと存在している名店「魚虎」
ネット記事によると金土日は半年先まで予約が埋まっているそう。
私は旅行前にダメもとで電話してみましたが、やはり予約はとれませんでした。
ということで、私は黒崎第二の選択肢、「田舎庵」に行くことにしました。
「田舎庵」といえば博多の駅ビルにテイクアウト店も出店している小倉のうなぎの名店を思い出しますが、どうも黒崎の「田舎庵」は小倉本店の系列店や姉妹店という位置づけではないようです。

黒崎 田舎庵 日日屋
せっかくなので「せいろ蒸しコース」6,200円を注文しました。
せいろ蒸しは福岡県柳川市を発祥とする郷土料理。
うな重とは違い、ご飯にうなぎのかば焼きと錦糸卵を乗せてせいろで蒸して作られます。
(コース内容)
冷酒・明太子・うざく・肝焼・鰻寿司・せいろ蒸し・デザート

せいろ蒸し
美味しい!うなぎの皮はパリパリで香ばしい。身はふわっとしている。ご飯は蒸したてであつあつホクホク。タレが甘すぎない。後味がじわじわやってきて、食べた後に旨さを感じる。
この後デザートとして、アイスクリーム、すいか、メロンがでました。
黒崎グルメを堪能して宿をとっている博多に移動しました。
黒崎新劇座はとてもよい大衆演劇場でした。
令和の世になってもこのような素晴らしい劇場が誕生するのは、大衆演劇の未来にとってとても心強いことです。
こんど黒崎に来たときは、博多新劇座から魚虎へ移動するコースをやりたいなあ、、
(2023年5月探訪)