WIKIレンタル 大衆演劇探訪記 2023年09月
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奈良の名芝居小屋 「弁天座」 が2023年9月で閉館 建物は壊さず運営引き継ぎ先を探す

奈良の名芝居小屋 「弁天座」 が2023年9月で閉館 建物は壊さず運営引き継ぎ先を探す

奈良県の大衆演劇場「弁天座」が2023年9月末で閉館するという情報をききつけ、どうしても見納めしておきたく、9月初旬に弁天座を訪ねました。

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近鉄大和高田駅
他の最寄駅としてJR高田駅があります。

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駅舎を出てすぐ右の路地へ

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路地の入口にある廃れた店舗(元果物屋?)は弁天座の広告塔のごとくポスター等が貼りだされています。

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「大衆演劇 涙と笑いの人情芝居 弁天座」

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店舗の壁には過去の公演ポスターがずらり。ずいぶん色あせていています。

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大和高田駅から徒歩約2分の好立地。
JRの線路の向こうに弁天座の建物が見えてきました。
大衆演劇場の前は映画館でした。

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建物の看板その1
「夢舞台 涙と笑いの人情芝居 弁天座」

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建物の看板その2
コピーは同じく
「夢舞台 涙と笑いの人情芝居 弁天座」

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弁天座入口

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芝居小屋の雰囲気がよくでています

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「本日の芝居」と書かれた看板
筆による貼り紙の味がたまらなくいい

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弁天座の提灯
その上に、いつから貼りだされたものか、入場料金変更の案内が出ています。
一般当日2000円。
私が初めて弁天座を訪ねた2010年は木戸銭が1500円でした。

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弁天座場内
このような天井の高い広々とした空間のある大衆演劇場は少なくなってしまいました。

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客席下手

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この屋根といい提灯といい、大衆演劇場ならではのしつらえ。

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立派な花道がある本格的な芝居小屋です。

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花道脇の桟敷席

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客席上手側の壁
赤・青・黒の顔料で書かれた掲示が素敵すぎる

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客席前方
定式幕

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座り心地のよい客席

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客席には傾斜がついています。ただし座席の部分はフラットになるよう施工されています。

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客席上手壁上方に映し出された照明と提灯
ノスタルジックな雰囲気

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公演中の様子

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同じく公演中の様子

弁天座の閉館については大手マスメディアも報じています。

■読売新聞オンライン記事(2023/9/16)
生の迫力、大衆演劇の灯を消さないで...新型コロナ禍で経営悪化の「弁天座」9月で幕、運営引き継ぎ先探す

■毎日新聞オンライン記事(2023/9/12)
「芝居の生の魅力伝えた」 奈良の大衆演劇場「弁天座」

閉館の理由はずばり経営不振。
建物は取り壊さず、後を引き継いでくれる運営会社を探すとのこと。

大衆演劇は、劇団の人気によって劇場の客数が大きく変わります。
集客力がある劇団が乗れば黒字になるし、そうでない場合は赤字になる。
これらを相殺して、結果的に年間収支が黒字になるかどうかで経営判断することになります。
つまり劇場の経営には「12か月のうちどれだけ人気劇団を乗せることができるか」が大変重要になります。
では、閉館という判断に至る前のここ1,2年、弁天座は公演をつとめる劇団に恵まれなかったのでしょうか。
私が弁天座にのった劇団のラインナップを見る限り決してそんなことはなかったと思います。

こんなよい立地にありよい設備があって、実力ある劇団がのっているにもかかわらず、赤字を余儀なくされているということです。弁天座閉館は大衆演劇界の苦境の顕れといえるでしょう。

新型コロナウイルスは2023年5月に5類感染症に移行しましたけれども、今もその流行が終息する兆しが見えません。老人の外出自粛傾向は今も続いているのかもしれません。
弁天座の固定客の多くがご老人であったと思います。私の今回の訪問でもお客さんはほぼご老人でした。
平日仕事のないご老人の固定客をいかにつなぎとめておくかが劇場の命運をわけると今回実感いたしました。

弁天座はなくなってしまうには実に惜しい劇場です。
なんとか復活してくれないかと祈っております。

(2023年9月探訪)

オープン直前! 「歌舞伎町劇場」内覧会レポート

オープン直前! 「歌舞伎町劇場」内覧会レポート

2023年10月1日に新宿歌舞伎町に大衆演劇場がオープンします。
その名も「歌舞伎町劇場」

多くの大衆演劇ファンが関心を寄せている歌舞伎町劇場のオープン前内覧会に行ってきましたのでレポートします。

歌舞伎町は日本でも屈指の歓楽街。新宿駅の北東、徒歩数分のところにあります。

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新宿駅から行く場合、靖国通りに出て新宿区役所方面に歩きます。
新宿区役所の近くまできますと「HUB」と「セブン銀行ATM」が見えます。この間の路地を入ります。

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同じ路地を別方向から見たところ。
地下鉄新宿三丁目駅から来た場合はここを右折します。
なお、新宿地下街のサブナードの13番出口を昇るとこのあたりに出ますので雨の日は地下道を使うとよいでしょう。

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路地に入って1分も歩かないうちに歌舞伎町劇場が入っている「ハナミチ東京 歌舞伎町」のビルが見えてきます。

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ハナミチ東京歌舞伎町ビル

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歌舞伎町劇場の看板も出ていました。
このビルの地下1階に劇場があります。

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劇場に入る前に「ハナミチ東京歌舞伎町」についてご案内します。
劇場だけでなく、この商業施設自体が2023年10月1日に開業するのです。
ですから歌舞伎町劇場はこのビル開業第一号テナントになります。
もともとこのビルのオーナーは、このビルの地下1階を劇場用途で設計していました。
その噂をききつけた歌舞伎町劇場代表がオーナーにプレゼンを行った結果、大衆演劇場としてオープンすることが決まったのです。
大衆演劇場の仕様とするために、ビルの設計を大幅に変更してもらったそうです。
まさに大衆演劇専用劇場!都心に新たにこのような劇場ができるとは感動的です。

さて、「ハナミチ東京歌舞伎町」のポスターを見ますと
「和をテーマに歌舞伎町から日本文化を発信!」と書かれています。
「和」がテーマのビルなのですね。大衆演劇場にぴったり。
といいますか大衆演劇場が入ることが決まったのでビルのテーマが和になったようです。
2階には「珈琲西武」という昭和レトロモダンな雰囲気の純喫茶が入ります。
観劇後に仲間とおしゃべりするのにちょうど良さそうですね。
3階、4階には和をモチーフとした飲食店が入ります。
3階の「内藤新宿」は江戸の雰囲気の店内だそう。こちらも楽しみ。

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「ハナミチ東京歌舞伎町」1階。
ここが歌舞伎町劇場の入口です。

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歌舞伎町劇場の看板

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建物に入ってすぐ左手にチケットカウンターがあります。
ちなみにチケットの購入場所とチケットのもぎりの場所は別。その理由は後述します。

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建物1階ロビー。
通路をまっすぐ行くと、男女トイレと喫煙室があります。
劇場は地下1階ですが、劇場フロアにはトイレはありません。1階にあるトイレをご使用いただくことになります。
女性用個室は5個あるとか。大衆演劇場では女性お手洗いに行列ができることが常なので5個もあるのはよいですね。
左手に、地下に降りる階段があります。ここから劇場へ行きます。
右手にカウンターのようなものが見えます。

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ここは「ハナミチカフェ」というお店。歌舞伎町劇場とは経営が別(2階の喫茶西武が運営)です。
開演前にくつろぐのにちょうどよいですね。

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喫煙所

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ビル1階の平面図。
地下1階の劇場へは1階の劇場ロビーから階段を下って向かうことは先述しましたが、エレベーターで劇場に行くこともできます。
劇場ロビーの入口の右手にこの建物のエレベーターがあります。ですからロビーのチケットカウンターを経由せずとも、このエレベーターを使って直接劇場に行くことができます。そのためチケットのもぎりは地下1階の劇場内で行うことになります。

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エレベーター

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ロビーから階段を下りて劇場に向かいます。

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歌舞伎町劇場場内後方より

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劇場右手後方側面にエレベーターがあります。
エレベーターが客席に直通しているので、開演中は地下~1階間のエレベーターの運行を停止する予定とのこと。

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劇場左後方より

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劇場右前方から後方を見たところ。
客席後方上部から黄色いライトが照射されています。
あそこが投光所です。

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特別に投光所があるキャットウォークに入らせてもらいました。
もちろんここには一般のお客さんは入れません。
キャットウォークから見た舞台。

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キャットウォークから投光しているところ。

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劇場には長い花道があります。
客席をつぶしてまでも花道を作るのは大衆演劇場としてのこだわりですね。

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舞台上から見た花道

さてこれからは歌舞伎町劇場自慢の設備を見ていきましょう。

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客席
座ってみましたがとても座り心地がよい。長時間座っても疲れなさそうです。
かなりよい座席を採用したのではないでしょうか。

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定式幕

この後ろにはなんと紗幕(薄く透ける幕)もあります。
私は紗幕を使った演出が好きなので、大衆演劇でどのように活用されるのか楽しみです。

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LEDビジョン
これはすごい!舞台後方一面に設置された超大型スクリーン。
ここにいろんなシチュエーションの背景を投影することができます。
書割(背景幕)をぶらさげる必要がありません。
舞踊ショーではその劇団の背景幕を設置することが多いですが、ここでは画像データさえあれば投影できるので幕を持ってくる必要がありません。
このLEDビジョンは革命的ですね。これぞ新世代の大衆演劇場という感じがします。

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背景だけでなくいろんな映像を用意しています。

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幻想的な動画背景もあり、舞踊ショーではかなり効果的でしょう。

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このLEDビジョン、どれだけゴッツイのだろうか、と思って横を見てみると、、薄い!
LEDビジョンの後ろを通って、役者さんが上手←→下手に移動することができます。

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舞台の中央からせり上げる二重舞台。最大80cmまで上がります。
これもこの劇場ならではの舞台機構。

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これは神社の場面で、二重舞台を少しせり上げたところ。
ちなみにこの柳は歌舞伎町劇場棟梁の手作りだとか。

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画期的なものはまだあります。
舞台のヘリの何か所かに取り付けられた集音マイク。
役者さんがピンマイクを装着しなくても、このマイクが声を拾ってくれます。

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天井にも集音マイクが取り付けてあります。

照明・音響設備もひととおり劇場にそろっています。
ですので、劇団が乗り込んできた際に劇団の照明やスピーカーを取り付ける作業が必要ありません。
これは休みの少ない劇団にとってとてもありがたいことでしょう。

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舞台上手側にある調光・音響卓。

旅芝居らしからぬ?近代的な設備を多く見てきましたがアナログなものもありました。

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天井にある雪カゴ。
手作りで取り付けたようです。もちろん電動ではなく、紐を手で引っ張って揺らします。
この雪カゴはバトンにぶら下がっているわけではないので、雪を入れる際には脚立に登って直接籠に雪を入れることになります。

舞台袖には多くの舞台セットのパネルが置かれていました。LEDビジョンの背景にこうした大道具・小道具を組み合わせて場面を作ってゆきます。LEDビジョンなどを見るとずいぶんリッチな印象を受けますが、劇場側ではなるべくコストをおさえるために手作りできるものは極力手作業で作っています。梱包用の発泡スチロールに色を塗って作ったお地蔵さんや、紙粘土で作った石などを見かけました。

楽屋は上手舞台袖から階段を昇った1階にあります。楽屋には男女トイレ、バスルーム、洗濯機、キッチンがあり、鬘箱を収納できる棚も取り付けられています。

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歌舞伎町劇場の杮落し公演をつとめるのはたつみ演劇BOX。
公演日時、公演時間、チケット代などは歌舞伎町劇場ウェブサイトからご確認ください。

新時代の大衆演劇場のオープン楽しみです!


(2023年9月探訪)
プロフィール

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Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

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