WIKIレンタル 大衆演劇探訪記 2017年08月
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大阪中南部 和泉市にできたセンター 「弥生の里温泉 弥生座」

大阪中南部 和泉市にできたセンター 「弥生の里温泉 弥生座」

全国的にみますと、大衆演劇場は「劇場」より「センター」の方が多いと思います。
しかし大衆演劇のメッカ大阪ではほとんどが「劇場」です。

そんな大阪にめずらしくセンターの公演地が生れました。
しかもあまり大衆演劇場がない南の地域です。

弥生の里温泉という施設に誕生した弥生座を訪ねました。

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JR阪和線信太山駅

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駅を降りて2,3分で弥生の里温泉の看板が見えました。
この黒い建物は弥生の里温泉系列の宿泊施設のようです(弥生の里温泉自体にも宿泊施設があります)
ここを右に入ります。

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弥生の里温泉の建物が見えました。

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入口の外に足湯がありました。

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温泉お湯汲み処

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入口

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1階ロビー
靴を靴箱に入れて、靴箱の鍵を受付で渡し、ロッカーキーを受け取るのはよくあるセンターと同じ。
ここでは弥生座観劇者用に別のリストバンドが渡されます。
弥生座の席を予約している場合は予約券席も受け取ります。

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受付のすぐ横にあった観劇予約受付

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お風呂および大衆演劇場弥生座は3階にあります。
これは弥生座開場後の写真。
男湯と女湯の入口の間に演劇場入口があるのがおもしろい。

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弥生座の開場は11:00
開場時間前に並ぶかわりに手荷物を置くのもよくある光景です。

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開場時間の11時近くになりますと、弥生座入り口の前に入場者の列ができました。

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弥生座場内

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座席表
センターにしては客席数は少ないです。

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最前2列は単なる座椅子席
その後ろにテーブル付きの座椅子席
その後ろにソファ席

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テーブル付き座椅子席

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後方にはテーブル席
ここの舞台寄りの席がとても見やすそう

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花道

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もちろん劇場内で飲食ができます。
ドリンクコーナーが会場左後方にあります。

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ドリンクコーナーではおでんも売っています。

ドリンクコーナー内は狭く、従業員が1名か2名くらいしか作業できないようです。
だが多くのお客さんが飲み物やおでんを求め、開場直後は行列ができました。
また、狭いカウンターが渡し口と下膳口を兼ねているため、混んでいると下膳したくてもできないという状況も生まれてしまいます。

ここは
第1部の芝居が11:30~12:30
第2部のショーが13:30~14:30
必然的にお客さんは12:30~13:30に昼食をとることになります。
同じタイミングで多くの方が食事をとることになり大変混雑します。

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スムーズに昼食をとれるよう、弥生座入口に昼食の予約表があります。
1階の食事処での「座長御膳」「おすすめ御膳」
3階ドリンクコーナーで受け取る弁当「信太(うなぎ)」「和泉(幕の内)」「伯太(おにぎり)」
の中から選びます。

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座長御膳とは、その月に公演する劇団の座長が好きなメニューで構成された食事です。座長ブロマイド付きで税込1,180円。

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第一部のお芝居が終わって口上挨拶の様子。
この日は第一部が12:40に終わったので、お昼休みは12:40~13:40となりました。

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私は弥生座の座席で信太弁当をいただきました。
ほとんどのお客さんは1階の食事処で食事をしているようでした。
私もここで食事しながら、座椅子で窮屈な姿勢で食事するより1階食事処の座席で食事すればよかったなと思いました。

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弥生座では劇団とのお食事会もやっているようですね。

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あまり見たことのない舞踊ショー応援グッズがありました。
第2部舞踊ショーの前に従業員の方はこれをお客さんに配って回っていました。

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舞踊ショーの様子

大阪にはゆの蔵というセンターもあります。
弥生座・ゆの蔵に共通するのは、
机と通路の場所をとって空間がゆったりしているかわりに座席数があまり多くないということです。
(必ずしもすべての席でお客さん同士の距離がゆったりしているというわけでもないのですが)

お客さんが多く来すぎてしまったら、お客さん同士で席の取り合いなどのトラブルになりかねないですね。
弥生座ではリストバンドを用いて劇場や食事処を利用するお客さんの数を管理しているのでしょうか。

当初弥生座では、
第3部(芝居)17:00~
第4部(ショー)18:30~
と、ゆの蔵と同様の4部構成となっていましたが、
2017年8月1日からは、
第3部(ロングショー)17:00~18:30
となり第4部が廃止となりました。
8月になって間もなく、ホームページに
お客様からの提案により8月8日より
第3部(ロングショー)17:00~18:15に変更する
との案内が掲載されました。

この変更にはどのような背景があるのでしょうか。
「芝居よりもショーを観て、早く家に帰りたい」というお客様が多いということでしょうか。
主に芝居の方を楽しみに大衆演劇を観に行く私にとっては、このような世の趨勢に少しさみしさを感じてしまいます。

(2017年8月探訪)

駅の近くに移転した下町の小劇場 「九条 笑楽座」

駅の近くに移転した下町の小劇場 「九条 笑楽座」

九条笑楽座は2017年5月にオープンした劇場。といっても大正区にあった笑楽座が移転してきたのです。

九条駅近くに大きな交差点があります。

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あのでかいビルの前の道を、この写真でいうと奥の方に向かって、数分歩くと右手に九条笑楽座があります。

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でもどうせ行くなら楽しい道がいい。
さきほどの道と平行して(正確にはナナメだが)通っている「キララ九条」という商店街を通って行きます。

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いかにも下町商店街といった風情のキララ九条

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大阪の商店街には必ずたこ焼き屋さんがある。
時間に余裕があったのでイートインしました。

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これがさきほどの大通りに面して建っている、九条笑楽座があるビル。

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横から見ると、なんて細いビルなんでしょう。
この中に劇場が収まるのでしょうか。

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入口

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気になる劇場内、後方より。
小さめの劇場ですが狭苦しい感じはありません。中にいるとあの細いビルの中にいるという感じがしません。

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右側面はシャッター。
このシャッターの向こうはさっきの大通り。
ちなみに、この日の公演中、大通りに救急車が通り、その音が劇場内によく聞こえました。

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ベンチ型の席。これは此花演劇館と同じですね。どうも系列店らしい。

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花道

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ロビーから劇場に入る扉のすぐ近くの頭上。途中で切れている階段が。
この劇場を作るにあたって壊したのでしょうか。

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公演中の様子


大正区にあった笑楽座は、全国屈指の「これが劇場なの?」感がある味わい深い施設でした。そこに比べればはるかに劇場らしくなりました。
場所も駅から2kmの距離だったのが駅および商店街の近くになり、アクセスしやすくなりました。集客は増えるでしょう。こういう小さい劇場に私は親しみを持ちます。でも私は大正区の笑楽座も好きでした。靴をぬいでくつろげるアットホームな雰囲気、地元の方が家族ぐるみで遊びに行きたくなるような雰囲気。あののどかな感じもよかった。

笑楽座は比較的小さな劇場です。地方まわりが多い小さい劇団が乗りやすい劇場が大阪にあるのはとてもよいことですね。

(2017年8月探訪)

23年営業を続け生れ変わる、大きな舞台を持つセンター 「天然温泉ユラックス」

23年営業を続け生れ変わる、大きな舞台を持つセンター 「天然温泉ユラックス」

三重県の大衆演劇場、天然温泉ユラックスを2016年12月に訪ねました。

ユラックスは駅から離れた場所にありますので、電車利用の場合は四日市駅からの送迎バスを利用することになります。

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四日市駅

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バスは近鉄四日市西口のみずほ銀行南側から出発します。
1日3便

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12,3分でユラックスに着きました。

靴を靴箱に入れ、靴箱の鍵を渡して受付します。
気になる大衆演劇場を見てみましょう。

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ユラックスの大衆演劇場。
天井が高い!

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広い!

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ここまで舞台が大きいセンターは珍しいのではないでしょうか。

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花道も広い

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客席はスタンダードなセンター仕様

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座席に荷物を置いて長時間離席するお客さんの対策に頭を悩ませているセンターは多いです。
ユラックスでは、係員に申し出ると「お席確保サービス(2時間)」という紙を席に貼ってくれます。

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昼食は四日市のB級グルメ、トンテキの定食。

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公演中の様子

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この日は大衆演劇公演の時間外にビンゴ大会がありました。

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私はユラックスの入場券2枚があたりました。ビンゴの景品としてはいい方です。
しかし有効期限までにユラックスを再訪する予定はありません。
となりの席でビンゴをやっていたおじさんに入場券を差し上げました。ユラックスの常連らしき口数の少ないおじさんは受け取ってくれました。
おじさんは、お財布をとりだし、そこから以前のビンゴゲームの景品だったのだろうドリンク無料券を取り出し、口数少なに私に渡しました。
これをきっかけに私とおじさんは少しお話しました。おじさんんは大衆演劇よりビンゴゲームがメインの目的でここに来たのだと。ユーユーカイカンとユラックスでビンゴがある日はそこに行っているとのこと。私は東京から遊びにきたことを伝えました。

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おじさんは席を外し、私はドリンク無料券を使ってコーヒーを飲みました。
コーヒーを飲み終わってお風呂に入り、そこから戻ってくると・・・

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机にしぐれ煮が置いてありました。
口数少ないおじさんがお土産にと買ってくれたものでした。
親切なビンゴ好きなおじさん、ありがとうございました。

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公演中の様子
舞台が大きいとショーもよりダイナミックに感じますね。


私がユラックスを訪ねたのは2016年12月。
館内には、2017年2月から経営者が変わり、夏から秋にかけて大幅リニューアルを行う予定だということが書かれていました。

2017年8月14日ユラックスのホームページに
「ユラックスも残りあと1週間!」というニュースが載りました。
以下その文章を抜粋します。
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この生桑町に構えて23年。皆さまのおかげでここまでやってこれました!あと1週間でユラックスとしての営業は終了します。2ヶ月ほどお休みさせていただきますがまた秋には『おふろcafé湯守座』として生まれ変わります!
-----
リニューアル後も大衆演劇公演は行われるようですね。
お知らせには「舞台・大広間を強化」すると書かれています。
どのように生まれ変わるのか楽しみです。


さて、ユラックス探訪の際の旅日記も付記しておきます。

四日市市の南に鈴鹿市がありその下に県庁所在地でもある津市があります。
津市の北部に浄土真宗高田派本山の専修寺(せんじゅじ)があります。

15世紀終わり頃から16世紀の中頃にかけて、浄土真宗の寺院を中心として「寺内町」という自治都市が形成されました。「門前町」とは違う性格を持った「寺内町」は近畿や北陸を中心に発達し、多くは周囲に環濠などがめぐらされました。

「一身田(いっしんでん)寺内町」は専修寺を中心に形成された環濠に囲まれた寺内町です。

明治時代に、宗教団体が境内と墓地以外の領地を統治することが禁止され寺内町は存続できなくなりましたが、一身伝寺内町は今もなお環濠や古い寺院や古い民家があり、往時の面影を残しています。

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一身田寺内町の環濠

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趣きある町並み

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専修寺山門

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専修寺如来堂(左)と御影堂(右)
専修寺の御影堂は「ごえいどう」ではなく「みえいどう」と読みます。

浄土真宗では説教が盛んです。
専修寺では毎朝7時にお勤めがあります。説教は江戸時代から今日に至るまで1日も欠くことなく毎日行われてきたそうです。

この日は早朝に専修寺を参拝し、四日市に移動して、11:00発の送迎バスでユラックスに行きました。

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四日市土産として笹井屋のなが餅を買いました。
笹井屋の創業は戦国時代の1550年!
なが餅は餡を包んで長く延ばして香ばしく火であぶったお菓子です。
桑名の安永餅など三重県には広く親しまれているようです。

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四日市のゆるキャラ「こにゅうどうくん」
大四日市まつりでは身の丈4.5mという日本一大きなからくり人形「大入道」が登場するとのことで、彼はその子供のようです。


「おふろcafé湯守座」というなんとも現代的なおしゃれな名前に浮かれ変わるユラックス。
リニューアル後はどんなサービスが提供されるのか興味あります。
また三重県を探訪する楽しみができました。

(2016年12月探訪)

ストリップ劇場から生まれ変わった昭和な町の大衆演劇場 「木川劇場」

ストリップ劇場から生まれ変わった昭和な町の大衆演劇場 「木川劇場」

2010年頃から大阪では早いペースで続々と新たな大衆演劇場がオープンしています。
閉館した映画館などが大衆演劇場として生まれ変わったケースもいくつかあります。

十三にある木川劇場は閉館したストリップ劇場「木川ミュージック」の施設を受け継いで2013年4月にオープンしました。
本ブログは2014年12月に木川劇場を訪ねた際のレポートです。

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十三駅東口の前商店街。

十三駅から木川劇場までは歩いて10分くらいかかります。
初めて行く場合は地図が必要。

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木川本町商店街
とても昭和な佇まいの商店街がありました。

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この商店街を歩く

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商店街を抜けた先の右手にピンク色の建物が見えました。

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これが木川劇場

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別の角度から

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劇場近くの看板
この日は長谷川武弥劇団の公演。
京未来の誕生日公演の日でした。

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電気の看板

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入口

入って受付で当日料金を支払おうとすると、近くにいた女性に声をかけられました。
「前売券を持ってないのですか。では私が持っていますからお譲りしましょう」という旨をとてもざっくばらんな関西弁で話しかけられ、前売り料金で入場することができました。前売り入場料1100円。安っ!(2017年9月から当日1500円、前売1300円になったようですが、それでもまだまだ庶民価格)

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劇場内

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客席は大衆演劇用にリニューアルされています。

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前方

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後方

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花道も設置されています。

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花道横の桟敷席入口

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予約席

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天井のミラーボール
ストリップ劇場の名残ですね

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オープン時の宣伝ポスターか

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公演中の様子

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口上挨拶

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舞踊ショー

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京未来の13歳の誕生日公演ということでたくさんのケーキが用意されました。
この日はあのドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション 負けるな!泣き虫三姉弟」の制作クルーが来ていました。

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送迎車
駅から徒歩で10分ほどの距離ですが、送迎サービスがあるのは親切。ただし2016年9月から運休している模様。

以下、界隈散策中のスナップ写真

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劇場すぐ横のたこやき屋さん

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昭和の町の雰囲気が随所にありました。


ストリップも大衆演劇同様将来の興行継続が心配な大衆芸能業界。
しかも風営法か何かの関係で新たな劇場を設立できないという点で、大衆演劇よりも事態は深刻です。
惜しまれつつ閉館したのだろう十三ミュージックの跡地で大衆娯楽が継続できたことはせめてもの幸いといえるかもしれません。

ところで、全国的にみますとストリップ劇場は東京・神奈川に多く存在し、大阪にはわずかしかありません。
大衆演劇場はその逆、すなわち大阪にたくさんあって東京には驚くほど少ない。
この逆転現象は何らかの考察により説明が可能になるのだろうか。
また、落語の寄席が大阪にとても少ないのも不思議だ。大阪では落語より漫才なのだろうが、その大衆の好みと大衆演劇が受け入れられていることとをどうつなげて考えればいいのだろう。
また、大都市名古屋でなぜあんなに大衆芸能が砂漠化しているのか。
日本の大衆芸能興行を考えるうえで東京・大阪・名古屋の劇場・寄席の分布・形態・変遷は大きなカギになると思っていますが、さまざまな要素を考察しなければならず、まとまった考えを導くには今の私には到底見識が足りません。

(2014年12月探訪)
プロフィール

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Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

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