WIKIレンタル 大衆演劇探訪記 2015年10月
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古都のホテルの古風なスタイルの芝居小屋 「ホテル郡上八幡」

古都のホテルの古風なスタイルの芝居小屋 「ホテル郡上八幡」

私と妻が、妻の姪っ子甥っ子である3人の小学生を連れて5人旅をする、という企画が持ち上がった。

旅先は、私の一存で郡上八幡と決まった。
郡上八幡には大衆演劇公演を行っている郡上温泉宝泉(ホテル郡上八幡)がある。もちろんそこに泊まるプランである。

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東京方面から郡上八幡に行くには、まず名古屋まで出て、そこから岐阜を経由して美濃加茂に行く。
そこで長良川鉄道に乗り換える。

9月の日曜日。
美濃加茂駅から長良川鉄道に乗り換える旅行者は多かった。

美濃加茂駅でJRを降りた我々は急いで長良川鉄道の車両に乗り込む。座席に荷物を置いて5人分の席を確保した妻はお手洗いに行った。
しばらくホームにいた私が電車に乗り込むと、トイレから戻ってきた妻が機嫌悪そうにしている。確保した5席のうち1席が若いカップルに取られていたらしい。このカップルの多分の男の方が、向い合せの2席に置いてあった我々の荷物を勝手に1席にまとめたらしい。男は空けた席に恬然と座り隣の彼女と楽しそうにしている。妻は私になだめられて子供たちがいる席の方へ。
私はカップルと向い合せの席に座った。私の隣席には帽子をかむった渋いダンディなおじさんが窓の外を眺めていた。

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長良川鉄道はその名の通り長良川に沿って走っている。
楽しむために車窓を眺めている人が旅人なのではない。
なんとなく眺めた車窓の風景が、その情趣がその人を旅人にするのである。

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延々と続く、どこにでもありそうなのどかな日本の山里の風景。それに調和した駅のホームに列車が停車する。
実はここは全国的にも珍しいユニークな駅。

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「みなみ子宝温泉駅」
駅舎がそのまま温泉施設になっている。
我々一行はこの駅で途中下車。
ホームから駅舎に入るとそこは全く駅らしからぬ光景である。休憩所兼食事処が目の前に広がっている。健康ランド、大衆演劇的に言うならセンターにありがちな座敷である。左手奥にお風呂の入口が見える。「日本まん真ん中温泉 子宝の湯」というらしい。
ここで我々は昼食、皆でラーメンを食べる。腹を満たしてから温泉へ。
開放的な露天風呂があり、この日は天気もよくとても気持ち良かった。

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再び長良川鉄道に乗って、目的の郡上八幡駅に到着。

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昔ながらの趣きを残している駅舎。

駅から郡上八幡の中心地までコミュニティバスに乗る。

15年前に一人旅で訪れた際は、古い家並みと水路が続く風情ある静かな古都、という印象だった。
この日は観光客lが多くとても賑やか。今回の旅で知ったのだが、郡上八幡は日本有数の食品サンプルの生産地だそうだ。
そんなわけで食品サンプルの工場が観光スポットとなっている。
小学生を連れてゆくのにちょうどよい。姪っ子・甥っ子に食品サンプル製作体験で遊ばせる。

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郡上八幡を流れる川

早くもホテル郡上八幡の送迎バスの時間が近づいている。慌ただしい観光だ。
郡上八幡の観光の拠点、城下町プラザからホテル行きのバスに乗り込む。
子供たちは「2つの食感ソーダゼリー」という振って飲む炭酸飲料に夢中になっている。

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城下町プラザからバスで10分くらい、長良川沿いの幹線道路に面したドライブインのようなところに、ホテル郡上八幡その他の施設が立ち並んでいる。

演劇グラフではこの公演地を「郡上温泉宝泉(ホテル郡上八幡)」と表記している。
「郡上温泉宝泉」は「ホテル郡上八幡」に併設されている温泉施設、と理解すればよい。
「郡上温泉宝泉」と「ホテル郡上八幡」とは建物としてはつながっているけれども、入口は別々だ。
大衆演劇場は「郡上温泉宝泉」側の施設内にある。

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ホテルに用がなく、温泉や大衆演劇だけを目当てで来た人は、こちらの宝泉の入口から入る。

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私たちは宿泊者なので、巨大な獅子頭があるホテル入口から入る。

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ホテル内のロビーは、水の都を思わせる洒落たつくり。

宿泊室で一息ついた私はさっそく、夜に訪う大衆演劇場の下見へ。

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宝泉入口から奥の浴場へ向かう途中に「芝居小屋」がある。

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椅子も座椅子もない。
お客さんは床の好きな場所にただ座るようだ。昔の芝居小屋はどこもこんなスタイルだったのだと思うが、今どき座椅子すらない小屋はめずらしい。

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「花道には座らないで下さい」
それはそうだろうけれど、大衆演劇をよく知らない人がここに座りたくなってしまう気持ちはよくわかる。

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後方はちょっと高くなっている。そこにある段差が唯一腰かけられる場所であろうか。
そこに座布団が1枚あって、その上に紙切れがのっている。あの紙は何だろか。

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座布団は各自がここから持っていくらしい。
この庶民的な感じがいいな。庶民的な場においては人々はお客さんというよりその場の主体だ。セルフサービスという言葉を持ち出すでもなく皆が自然な気持ちですべきことをする。

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入口脇に紙とマジックとセロテープを発見。
それでピンときた。
ここでは、早くきたお客さんが自由に座布団で場所を確保することができ、目印としてこの紙に名前を書いて貼っておく、という習わしとなっているようだ。この昔っぽい感じ、庶民的な感じにいちいち自分は和んでしまう。

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それにならって、私も3席分(私、妻、芝居に興味を示した姪1名)を確保。

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劇場の下見を終え夕食までの空き時間、5人で卓球をして遊ぶ。

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夕食。
この後観劇が控えているので酒はほどほどにしておく。
夕食の後、温泉でくつろぐ。

そろそろ大衆演劇の時間である。
夜の部は、平日は舞踊ショーのみだが、土日はちゃんと芝居とショーをやってくれる。
土日は19:00開演。

私と妻、姪っ子1名は劇場へ。
芝居に興味がない子供2名は部屋でトランプ遊び。

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この日は市川市二郎座長率いる劇団三桝屋。この劇団名がかっこよくて好きだ。

初代市川市二郎の
長男が「劇団三桝屋」座長二代目市川市二郎
次男が「劇団華」座長市川かずひろ
三男が「優伎座」座長市川英儒
四男が市川謙太郎
市川謙太郎は三桝屋の座長になってあまり経っていないが、私たちが訪ねたときは劇団を離れていたようで不在だった。

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座長として30年以上活躍している市川市二郎座長。

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後方から見た舞踊ショーの様子

初めて大衆演劇を観た姪っ子はちょっとは楽しめた様子。よしよし。
なかなか良い大衆演劇教育ができた。

夜の部の公演の後、ロビーで劇団グッズを買って、市二郎座長にグッズへのサインをお願いしたところ、座長がぽつっと話かけてきた。
「電車に乗って来たでしょう」
え?なんでわかったの?という顔をしていただろう私が「はい」と答えると、市二郎座長が穏やかな口調で「荷物をどけられて席をとられちゃって・・」と云ったので私は驚いた。
なんと、長良川鉄道で私の隣りに座っていたのは市川市二郎座長で、座長はカップルが我々の席を略奪した現場を目撃していたのであった。座長は前日に嘉穂劇場で行われた座長大会からの帰りで、一人長良川鉄道に乗っていたとのこと。

こんな偶然ってあるんですねと、顔を見合わせて笑う私と妻と市二郎座長。
良い思い出ができて今ではあのカップルに感謝している。

市二郎座長は姪っ子に劇団のトートバッグをプレゼントしてくれた。
ダンディでやさしい市二郎座長。こういうかっこいい男になりたい。


ところで、ホテル郡上八幡は演劇グラフでは大衆演劇の常打ち小屋として掲載されているけれど、8月は大衆演劇公演を行っていない。なぜなら、有名な郡上おどりのシーズンだからである。

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ホテル郡上八幡では、町中で郡上おどりをやっている日をのぞいて、毎日郡上おどりのイベントをやっているようだ。

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「ふる里広場」が郡上おどりの会場

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ふる里広場入口

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郡上おどりをまったく知らない宿泊客に踊り方を指南してくれる。
けっこうノリノリで櫓の周りを踊るお客さんたち。

その後温泉に浸かって就寝。

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ホテルについてからも、ジュースの自動販売機を見つけるたびに子供たちは「たちは「2つの食感ソーダゼリー」を所望した。
それに付き合った大人もその不思議な食感にはまってしまった。

帰りはバスでホテルから岐阜へ移動
「2つの食感ソーダゼリー」を飲みながらバスに揺られる5人。


半ば私の自己満足のために訪ねた郡上八幡であったが、子供たちも旅を楽しんだようである。
というか、まだ小学生ぐらいだと旅そのものが新鮮な体験で、どこに行くかということはあまり関係ないみたい。

今度は、本物の郡上おどりを見に郡上八幡を訪ねたい。

(2014年9月)


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Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

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