WIKIレンタル 大衆演劇探訪記 2015年04月
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イベント盛りだくさん 大阪にできた新しい公演形態のセンター 「ゆの蔵」

イベント盛りだくさん 大阪にできた新しい公演形態のセンター 「ゆの蔵」

2014年5月、ついに大阪に新しい「センター」が誕生しました。
門真市のスーパー銭湯「天然温泉ゆの蔵」です。
もうすぐオープン1周年になります。

東京に住む私は「門真」という大阪の土地の名はゆの蔵ができるまで知りませんでした。
大阪の方に尋ねますと、運転免許場があることでよく知られているが、それ以外はとりたてて特筆することがないようなベッドタウン、といった街のようです。

杮落しの翌月ゆの蔵を探訪しました。

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門真市駅は京阪電車と大阪モノレールの2路線が交差しています。
駅を降りて南方へ進みます。「スーパーホテル」の黄色い看板が見える方向です。

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スーパーホテル横を通過して大通りに出てすぐ左にゆの蔵はあります。

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自転車駐輪場。
劇場であれセンターであれ、「自転車で大衆演劇を見に行く」という生活文化が私は好きだ。

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施設入口は2階にあります。
大きな駐車場があります。無料のシャトルバスも運行しています。

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入口はいってすぐ玄関があり、ここで靴箱に靴をしまいます。

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ゆの蔵ではいろんなイベントが盛りだくさんに開催されています。イベントカレンダーはとても賑やか。
ですからスーパー銭湯という表現は適切ではないかもしれません。
温泉、芝居、カルチャースクールなど、楽しみながらくつろげる地域コミュニティに根ざした施設です。

玄関を通過したら受付へ。
私はいつものクセで靴箱の鍵を提出してしまいましたが、ここでは靴箱の鍵は利用者が保管します。
入館料を支払おうとすると、料金は後払い、とのことで館内精算用のリストバンドを渡されました。
館内での支払いは、リストバンドのバーコードを提示することで済ませ、帰る際にまとめて精算するというシステムです。
タオルや館内着は必要な人のみ別料金で貸し出します。その分入館料は安く設定されています。

施設に入ってまず感じたのが、コンセプトがしっかりしていて、それに基づいてきちんとデザインが統一されていること。
私がこれまで訪ねたセンターは、高度成長期の名残りをどこかに残したまま年輪を重ねてきたようなナチュラルに昭和の風合いが感じられる施設が多かったけれども、ゆの蔵はとても現代的なセンスで、日本人がほっとできる空間としての昭和感を演出しています。

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畳敷きのイベントルーム

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軽食コーナー

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囲碁将棋コーナー

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喫煙スペースがきちんと個室になっている。
現代では当たり前かもしれないけれど、そうなっていないセンターの方が圧倒的に多い。

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大衆演劇は劇場レストランで行われます。

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場内後方より。

机の種類、配置、場内の傾斜など、大衆演劇場としてとてもよく考えられて作られています。

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ゆの蔵の幕

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最前列は正面向きの机

その後ろに座椅子で座るテーブル席があります。

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その後方はほりごたつ席。最後方はテーブル席。

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センター公演では足をのばせなくて疲れるということがよくあります。
ほりごたつ席は足が楽でした。しかし私はこれにプラスして座椅子がほしい。この席には座椅子は用意できないとのことで、お客様アンケートでリクエストしておきました。

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カウンター席もあります。

多くのセンターでは、狭いスペースにお客さんが場所を取り合うように身を寄せ合う光景をみます。ゆの蔵の劇場レストランは収容人数をおさえて、くつろげる快適な環境を実現しています。

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劇場レストランで「ゆの蔵竹籠御膳」をいただきました。

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この日はあおい竜也座長の「一竜座」の公演でした。
このときの一竜座はゆの蔵と同じく、旗揚げ2ヶ月目。
あおい竜也座長の舞踊は吸い込まれるように観てしまう。
芝居ではかつて座長として琥珀座を率いていた竜美獅童がアドリブたっぷりに舞台を盛り上げていました。

以上の写真はゆの蔵がオープンした翌月の様子です。これから常連のお客さんを増やしてゆこうという段階で、このときはまだそんなにお客さんは入っていないようでした。

2015年4月、10か月ぶりにゆの蔵を訪ねました。
するとどうでしょう、平日も休日も劇場レストランはお客さんでいっぱい。劇場入口にはいつも満席の札が掲げられていました。

こうなるだろうことは予測していました。
というのも、ゆの蔵はこれだけイベント盛りだくさん、キレイで快適な施設であるにもかかわらず、入館料がめちゃくちゃ安いからです。

オープン当初は、入館料は会員1300円、一般1200円という値段設定で、サービス期間は会員1000円となっていました。当然私は200円の入会金を払って会員になり、会員料金で入館しました。
サービス期間が続いた後、2015年になって会員も一般も入館料1000円となりました。安っ!
こうなると会員になるメリットがなさそうですが、会員は施設のさまざまなサービスを利用するごとにポイントが貯まる仕組みとなっており、貯まったポイントでまたいろんなサービスを受けることができます。

都会のすぐ近くでお風呂も大衆演劇も楽しめて1000円なんて価格破壊ではないでしょうか。
人気がでないわけがありません。

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剣戟はる駒座倭組の舞台

さて、ゆの蔵での大衆演劇公演は他の公演地とはちょっと変わっています。
通常、昼の部・夜の部という2部制で、それぞれ「芝居+舞踊」がセットになっています。
ゆの蔵は、芝居と舞踊がセットという前提をなくし、4部制としています。

1部 11:30~12:30 芝居
2部 14:00~15:00 舞踊ショー
3部 17:00~18:00 芝居
4部 20:00~21:00 舞踊ショー
多くのセンターでは昼の部と夜の部で演目を取り替えているかと思います。
ゆの蔵では、1部と3部、2部と4部とで内容が一緒です。

舞踊が好きな人は舞踊ショーだけを観ればよいですし、芝居も舞踊も観たい人は2部と3部を観て18時すぎに帰るという選択もできるわけです。またお勤めの方は平日会社帰りに4部を観て風呂に浸かって帰宅するということもできます。

ただ、座席の予約(300円)はそれぞれの公演でかかりますので、お芝居と舞踊ショーのどちらも予約して観たい場合は600円かかることになります。
いま劇場レストランはとても賑わっているようですから確実に座って観るために予約されることをおすすめします。

3日間見た限りでは、お芝居の回より舞踊ショーの回の方が人気があるのかなという感じがしました。


最後にゆの蔵のメイン施設である温泉について。
洗い場が多い内湯、広くてバラエティに富んだ露天風呂と、かなり充実しています。
湯温も熱くなくて気持ち良かった。

「ロウリュウ」というの最近のスーパー銭湯の流行なのでしょうか?
私はゆの蔵で初めて体験しました。ゆの蔵ではロウリュウアトラクションが1日4回サウナルーム内で行われます。
アロマ成分を含んだ水を溶岩にかけると、いい匂いがする熱い蒸気がサウナルーム内に充満してきて、それをスタッフが大きな団扇で扇いでお客さんに熱風を送り、その間お客さんは手拍子をとりながら「ワッショイ」という掛け声を言い続けるという、知らない人がきいたらなんじゃそれというイベントなのですが(私も最初そう思ったのですが)、やってみるとこれがなかなかおもしろい。いままで浴びたことのない熱い蒸気に身が包まれると、これに堪えるためにワッショイと声をあげて自らを鼓舞したくなる気持ちが涌いてきます。

2回目のゆの蔵探訪に際しては門真市駅近くのホテルを利用しました。
最近、大阪に宿をとるのがタイヘンになってきました。外国人観光客が増えたからでしょうか。
私が利用したホテルはリーズナブルな料金で、大阪中心地にすぐ出られてゆの蔵にも近く大衆演劇遠征の宿泊地としてなかなかよかったです。


今後ゆの蔵のような新しい形態のセンター(大衆演劇公演を行う温泉施設)が増えてゆくような気がします。

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激安、快適!滋賀県にできた唯一の大衆演劇場「琵琶湖座」で花柳願竜劇団の生バンドを見る

激安、快適!滋賀県にできた唯一の大衆演劇場「琵琶湖座」で花柳願竜劇団の生バンドを見る

滋賀県には常設の大衆演劇場が長い間ありませんでした。
2014年10月、ついに滋賀県唯一の大衆演劇場「琵琶湖座」がオープンしました。

琵琶湖座は「ニューびわこ健康サマーランド」という健康ランドの中にあります。


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最寄は琵琶湖線(東海道線)瀬田駅。
駅前のロータリーから20分間隔で送迎車がでています。

私は駅から歩いて行くことにしました。

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幹線道路沿いに10数分歩くと「天然温泉ニューびわこ」「古琵琶湖天然ラドン温泉」といった看板が前方左手に見えてきました。あそこが「ニューびわこ健康サマーランド」です。
看板でアピールしているとおり天然温泉が自慢の施設。源泉を「古琵琶湖ラドンの湯」というそうです。
ラドン温泉といえは私は施設内にラドン発生器がある光景を想起しますが、ここは源泉に自然放射能を含んでいるという珍しい温泉です。

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別の角度から。隣り(この写真では奥)に「ニューびわこホテル」があります。

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道路沿いの看板

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まだ新しい看板。
いかにも、大衆演劇を行う施設としてリニューアルした」という感じがでています。

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ロビー。
とてもキレイです。

同じ1階にはリクライニングスペースもあります。
そこもキレイで心地よくくつろげそう。

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1階にあった大衆演劇案内看板。
筆で書かれた貼り紙がとてもいい感じだ。
この日はとても楽しみにしていた花柳願竜劇団の公演。

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2階に「れすとらん」があります。

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2階から3階にあがる階段途中にショーケースがあります。
劇団の衣装が飾ってあります。
大衆演劇場内に劇団ゆかりのものを展示する場所が設けられている。これは斬新だ。

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第2のショーケースに飾ってあるのは、劇団所有のペダルスチール。
そう、花柳願竜劇団は現在では珍しい「生バンド」を行う劇団なのです。

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3階が大衆演劇場

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本日の演題。
昼夜ともに国定忠治。連続して同じ主人公の芝居をかけるのは、昼から夜までお客さんが滞在することが多いセンターならではの趣向ですね。

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3階には広めのロビーもあります

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「大衆演劇琵琶湖座フォトコーナー」
鬘や着物が置いてあります。
「お休み処」と書かれた部屋は更衣室のよう。

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男湯は2階にありますが、大衆演劇場のある3階にも入口および更衣室があります。

11時に琵琶湖座入口がオープンしました。

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琵琶湖座場内。

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客席前方。
前の方の席は舞台と正面向きに座ります。だから机を前にして足を伸ばせます。
その後ろの席もテーブルが大きくてゆったりしています。

センターの大衆演劇場で飲食場所を兼ねているところは、たいてい長テーブルが舞台に垂直に並んでいる。食事しているときはいいけれど、舞台を観るときは体を90度回転させなければならない。だから隣りの席との間隔が狭くて窮屈だし前の人の後頭部も邪魔だ。
机の配置や大きさに工夫して、そういう不快感をなくそうという配慮がこの劇場には見られます。

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劇場後方には椅子に座って見られるテーブル席。私は昼の部はここで観ました。快適でした。

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下手側にはカウンター席。夜の部はここで観ました。ここも快適。

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各テーブルにはカチカチ棒と劇団のチラシがあらかじめ置いてありました。

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「大衆演劇観劇マナー」も置かれていました。
お花のつけ方まで書いてあります。

琵琶湖座内外にいろんなアイデアがあって
「初心者の方でも楽しくくつろいで大衆演劇を楽しんでもらう」というコンセプトで芝居小屋を作ったのだろうことがとても強く伝わってきました。

公演が始まるまで天然温泉に入りました。
お風呂はとても気持ちよかった。
浴場に「ラドン温泉はこんなにスゴイ」という説明書きがある。高らかに効能をうたいあげる掲示があるのはラドン温泉施設の常。

琵琶湖座に戻り、風呂上りのビールを注文。

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フライドポテト、鶏のから揚げなども注文。心地よくくつろいで背中まで溶けてしまいそう。こうして開演を待つのがセンターの醍醐味。

この日は花柳願竜劇団の公演を昼の部、夜の部とも観ました。

以下昼夜織り交ぜて花柳願竜劇団の公演をレポートします。
夜の部はびわこホテルのお客さん(おそらく大衆演劇をふだん観ていない方ばかり)がホテルの浴衣を着て観劇に来ていました。

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芝居が終わり、ホテルのお客さんとフレンドリーにコミュニケーションをとりながら口上挨拶する花柳願竜座長。

私は大衆演劇公演では舞踊ショーより芝居が好きです。
けれども今日の公演は舞踊ショーを楽しみにして来ました。以前花柳願竜劇団を観た際、舞踊ショー前半の生バンド演奏に強く心を打たれました。小説か映画の中の世界に入り込んでしまったのかような、黄昏の夢見心地ともいうべきひとときを過ごしたのでした。ただし、その時私が強烈な郷愁を覚えたのは、会場がとてもレトロな雰囲気だったことも大きいでしょう。

あの時とは違って、今日はとてもピカピカな会場。
どれだけ印象がかわるだろうか。

舞踊ショーの時間となりました。幕が開くと劇団バンドが出現。

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ギター 花柳願竜
アコーディオン 花柳さつき
ギター 花柳杏梨
ドラムス 花柳麻里奈

前回観た時は男性役者ばかりだった。今回は女性が3人もいてバンドが華やか。

幕開けにベンチャーズをもってくるかもしれないなとの予想は当りましたが、曲は予想外の「雨の御堂筋」。早くも私はしびれました。
バンドショーではなるべく多くのお客さんが知っている曲を選ぶ必要があります。座長はお客さんとコミュニケーションをとりながら即興でギターを弾きました。みんなが知っているサザエさんの歌をちょっと披露したり、子供の客を見つけて「ちびまるこちゃん」の歌を演奏してみたり。
鉄板ともいえるベンチャーズを2曲やって昼の部の生バンドショーは終わり、そのまま舞踊ショーへと続きます。

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こちらは夜の部。私の知らない曲からはじまりました。 続いて「ブルーシャトー」。
その後座長が軽い漫談で場を和ませて、お客さんにリクエストを募りました。ある客「○〇××」、座長「知らん」。お客さんとのやりとりで会場を笑わせて演奏に移行。ベンチャーズを中心に4曲くらいやってバンドショー終了。


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花柳願竜座長。
その後ろに、迫力あるドラムを叩く花柳麻里奈。

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花柳さつき
「和服にアコーディオン」がとてもいい。

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花柳麻里奈の妹花柳杏梨。
この時はまだ高校生。学校がないときに劇団に出演しているよう。

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頭の後ろでギターを弾く花柳杏梨。

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この日はクリスマス近く。
夜はサンタの衣装で演奏。

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琵琶湖座での生バンドを満喫しました。
どんな会場であっても花柳願竜劇団の生バンドは楽しいのだと思います。
お客さんとふれあいながら進行するところは大衆演劇ならでは。
適度に酒が入っている私としては、この適度なゆるさがいい。

ペダルスチールを聴けなかったの唯一残念。前回は座長のペダルスチールがとてもよかったので。
次回以降のお楽しみにしよう。

続いて舞踊ショーを紹介します。

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花柳願竜座長

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先ほど巧みなギターテクニックを見せていた花柳杏梨。
うってかわって純和風の雰囲気。

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花柳麻里奈。
踊りもすごくよかった。

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麻里奈、杏梨の姉妹相舞踊。

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花柳さつき

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座長の女形


琵琶湖座およびサマーランドを1日とても快適に過ごしました。
この施設の入場料は大人1300円。安い。会員になると900円。めちゃ安い!(ただし年会費あり)
大衆演劇を昼夜観て、天然温泉に入って、施設が快適で、この料金はお得すぎる。

帰りはホテルのバスに乗って瀬田駅まで戻りました。
蛇足ですが「ニューびわこ健康サマーランド」にはプールがあるわけではなく「サマー」の意味するところが私にはわかりませんでした。

長い間大衆演劇場がなかった滋賀県にこのようなすばらしい施設が誕生したことは大変よろこばしいことです。
地元常連ファンはこれからどんどん増えてゆくでしょう。

(2014年12月探訪)

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Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

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