WIKIレンタル 大衆演劇探訪記 2013年05月
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大衆演劇場の頂点に立つ芝居小屋 「嘉穂劇場」

嘉穂劇場は大衆演劇ファンには言わずもがなの「大衆演劇の殿堂」であります。
その沿革については劇場HPに詳しいのでここでは省きます。

殿堂といっても常打ち公演をしているわけではなく、嘉穂劇場での大衆演劇公演は年に数回もありません。
ここを探訪するには、公演日に合わせて旅の予定を計画しなければなりません。
私ははじめ2011年3月に探訪旅行を企画していました。しかし大震災があり旅はキャンセル。その半年後に再び探訪の機会を得ました。

嘉穂劇場開場八十周年記念 元劇場主伊藤英子追善 全国座長大会
平成23年9月10日(土)
この昼の部に行ってきました。

嘉穂劇場は博多の東方、筑豊地区の飯塚市にあります。最寄駅は新飯塚駅か飯塚駅。私は博多駅から約50分電車に乗って新飯塚駅で降りました。

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途中で川を渡ります。嘉穂劇場方面を眺めました。

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約20分歩いて飯塚の街並み。地図によるとすぐ近くにあるようなのですが、劇場は見当たりません。道路標識に「嘉穂劇場→」を見つけ、この路地に入ります。

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一区画内の道路に面していない中ほどに周囲を建物に囲まれて嘉穂劇場がありました。ちょっと意外な立地。でも建物の規模はかなり大きそうです。

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大きな絵看板やポスターがたくさん掲げられています。

事前購入しておいたチケット(前売指定席8,000円)を用意して中に入ります。

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客席前の廊下

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二階昇降口

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二階から見た客席

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二階席

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一階桟敷席

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さすが殿堂。広いです。なんといっても雰囲気がいい。

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お弁当売り場

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購入したお弁当

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「嘉穂劇場」というお菓子も売っていました。「もぎり餅」とも書かれています。
役者のわらじをモチーフにしたというつぶあん入りのやわらかいお餅です。

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開演が近づいてきました。お客さんがひしめいて大変な賑わいです。当然桟敷席では足を伸ばすことなどできず窮屈です。

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廊下の補助椅子席

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仮花道付近

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開演しました。座長が正装してずらっと並んでいます。
この公演の出演者は35名近くいました。

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舞踊ショー
予想通り(いや予想以上に)個人舞踊では競い合うかのように座長ファンがお花をつけていました。

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東日本大震災支援法被というものも用意されていました。1着1万円(限定100着)で売上はすべて支援金となります。座長から是非ご援助をというお願いがあり、劇場の方が売り歩いていましたが、場内を見まわしてもほぼ買う人はいません。舞踊ショーでは派手にお花がとびかっていたのに・・・。
デザインが素敵だったので私は一着求めました。

私は大衆演劇には、舞台と客席の近さや匂い立つような役者の存在感を求めるたちなので、正直申しましてお芝居や舞踊を遠くから眺めていても楽しめませんでした。しかしこの「嘉穂劇場」という芝居小屋の雰囲気・熱気を肌で感じることが劇的な体験でありました。

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昼の部と夜の部の間にお練りがありました。
アーケードの商店街を400mくらい行進します。長崎街道の宿場街だった飯塚宿の街道筋がそのまま商店街となっています。
先頭はもちろん玄海竜二先生。団扇で手拍子をとりながら笑顔でお練りの雰囲気を盛り上げていました。

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山車は2台

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山車に乗っていない座長たちは歩いています。残暑が厳しい日でした。さすがにみなさんあのような衣装では暑くてまいっているようす。テンションは低めでした。

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見物人が(私を含め)ぞろぞろと後ろからついてゆきます。
商店街の方は店の2階などから紙吹雪を投げてお練りを盛り上げていました。

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みなさん広告チラシなどを切って手作りで紙吹雪を作っているようです。
嘉穂劇場ならびにそこで行われている大衆演劇が地元に愛されているのだなと感じました。

この土地柄があってこそ嘉穂劇場が「大衆演劇の殿堂」と称せられるに値するのでしょう。

老人限定?山間の村落にあるくつろぎの施設 「八幡温泉老人センター」

大衆演劇情報誌で紹介されている全国の大衆演劇場、それらのネーミングには「一体どんなトコなんだ?」と興味をそそられるものがあります。
たとえば大分県別府のヤングセンター。大衆演劇場の客層はほとんど中年以降のご高齢の方。ここの客層は圧倒的にヤングが占めているのであろうか。などと変わった名称の施設はいちいち私の探訪欲を刺激してきます。(ヤングセンターの実態についてはブログ別項をご覧ください)
ヤングとは逆に「老人」の名のつく大衆演劇場もあって私はやはり気になっていました。それが静岡県にある「八幡(はちまん)温泉老人センター」。平凡そうで実はインパクトがある施設名だ。電車内でご高齢の方に席を譲ろうとしたら「ワシはそんな歳ではない」とおこられてしまう、という話がよくありますが、「老人センター」というネーミングは初老の方にはいくばくかの抵抗感を与えるのではなかろうか。かといって、「八幡温泉健康センター」などとしてしまったら、温泉好きの若者・中年なども来てしまい、お年寄りに安らぎを与える福祉施設であればそれは困ります。
大胆にも「老人センター」という名称をつけた大衆演劇場、気になるその実態を見に行きました。

東京から車で西へ。できたばかりの新東名高速道路に乗りました。とても運転しやすい快適な道路でした。新清水ICで降ります。
そこから山の方へ約30分。河内という山間の集落を目指します。

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山道の途中にぽつんとあった「かあさんの店」
店番をしていた地元のおばあちゃんには旅行者がめずらしいようでした。手作りのお漬物を買いました。

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かあさんの店から少し走ると見えてきました。あれが河内地区です。そんなに大きな町でないことがわかります。
あの山里に大衆演劇場があると思うとわくわくします。

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町を貫くメインロードを走ると右手にきれいめな白い建物が見えました。これが八幡温泉老人センターです。幟も立っていないし大衆演劇場らしさはまるでありません。

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センターの前の駐車場には送迎バスがたくさん並んでいました。
私は勝手に「ひなびた感じ」をイメージしていたのですが、それなりの規模と設備を備えている施設なのだろうかと予感させます。

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センターの裏を流れる川。釣り人がいます。大自然に囲まれたのどかな風景。

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さて老人センターの真実や如何に。入口まで来て私の足が止まりました。

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入口前の看板に「(株)八幡温泉老人センター 老人以外の入館はできません。」と書かれています。
いちおう私は、以前とある劇団の座長に「うちの劇団に入ってみない?」と誘われたこともあるし、見た目だけは「老人」ではなく「お兄さん」のカテゴリーであると自認しております(年齢はおっさんですが)。
うーむ、老人用の施設だとここまでハッキリと書かれてしまうと入りづらい。

おそるおそる入口を通過。受付には老婆が一人。怪訝そうな目つきでこちら一瞥。「あのー大衆演劇を見たいのですが」と声をかける。老婆はもう一遍私のつま先から頭までを眺めまわした後「ここは老人専用の施設なんだけど…」とぶっきらぼうにつぶやくも、私がその場を離れないでいると、困った顔をして裏の事務所にひっこむ。やがて支配人らしき男性が出てきて「大変申し訳なのですが…」とかなんとか言って丁重に入場を断られる。

ということになったらどうしようと妄想しつつ、私はドキドキしながら入ってみました。
入口すぐの受付カウンター前でこの施設の関係者らしき男性女性数名が談話をしていました。それで私に気づくなり、「観劇?どうぞどうぞ」「どこで知ったの?演劇グラフ?」「どこから来たの?東京?新東名使った?」「どこを旅行するの?身延山?今日は天気が良くて富士山がよくみえるよ」とみなさんから矢継ぎ早に声をかけられ、たいへんフレンドリー&ウェルカムに迎えていただいたのでした。

さっそく施設内を歩いてみました。

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受付

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八幡温泉のお風呂。とても気持ちよかったです。

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民宿や旅館でよく見かけるような共同水場。
ここは宿泊施設なのです。
パンフレットには、
1泊3食付6,100円より
2泊3日6食付10,400円より
と記載されています。
同じパンフに「ここには、本物のくつろぎがあります」と冒頭に書かれています。私もこの界隈にきたときから時間の流れのおだやかさを感じていました。広い空と山と清流。人も施設も自然体。シンプルな暮らしに大衆演劇という娯楽はよく似合う。

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ご老人の手作りといえばこれ。新聞のチラシで作った折り畳み小物入れ。それがたたまれてが置かれていました。自由に持っていっていいようです。
廊下に貼ってある「介護タクシー」の案内も老人センターらしさがでています。

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大衆演劇場は1階の広間です。壁には過去に出演した劇団の写真やサイン色紙がたくさん貼ってあります。
1993年6月桂木祐司の写真付サイン色紙にぐっときました。

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大広間後方より

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大広間前方より

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このような地域密着型のセンターでは、大衆演劇公演の前後もしくは合間に舞台をお客さんに開放しています。たいていお客さんが1人ずつカラオケをするのですが、この施設ではグループによるだしものも披露されます。これはフォークダンスでしょうか。おそろいの衣装に着替えています。ご老人の団体が交流の延長で気軽に発表できる場は、これからの日本にはますます大事になってくると思います。

当然ながら私以外のお客さんは皆さんご老人のようでした。

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公演中の様子。旅役者の子供の股旅姿。それをご高齢のお客さんが見て喜ぶ。これぞ日本の大衆演劇の風景と言えるでしょう。

帰りに施設の方とお話をしました。この施設が年間を通じて演劇公演を行っていない理由を尋ねてみました。
老人センターで大衆演劇公演が始まったのが平成5年。往時はたいへんな賑わいを見せ、バス12台!も使って主に清水市の団体客を送迎していたそうです。次第に客足が遠のき、3年前から1年12か月のうち3か月だけの公演となってしまいました。公演のない月は、温泉宿泊施設としてふつうに運営しています。

施設の方に別れを告げて我々は山梨県方面へ向かいました。
私事になりますが、実はこの探訪の前月に入籍しまして、今回は入籍後の奥さんとの初めての旅行、いわば新婚旅行だったのです。旅行のメインの目的地は身延山久遠寺(私も奥さんも国内の神社仏閣をめぐるのが好きなのです)で、八幡温泉にはそのついでに寄ったのでした。
八幡温泉老人センターは私が結婚後に初めて奥さんと訪ねた場所として思い出の地となりました。

(2012年5月探訪)
プロフィール

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Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

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