WIKIレンタル 大衆演劇探訪記 2012年06月
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都会の本格的大衆演劇場 「博多新劇座」

JR博多駅から線路沿いに北へ500m歩き、川を渡って左に入った界隈に博多新劇座はあります。

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この道路に出てしまえばすぐわかりますが、ここに出るまでが初めての人には少しわかりにくい。

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道路の反対から見たところ。高速道路やマンションが見えます。大衆演劇場の立地としてこのような雰囲気はあまりないですね。

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正面

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多くの劇場では役者の名前を書き出しています。これは役者を覚えるのに大変有用。役者はお客さんに覚えてもらって、ひいてはご贔屓の方がついてなんぼ。お客さんも座員を覚えた方が観ていて楽しい。けれどもほとんどのセンターや一部の劇場では書き出ししていません。もっとアピールすれば良いのになあとしばしば思います。まあこういうのがなくても数回通えば覚えてしまうものなので常連客がほとんんどのセンターでは不要なのかもしれません。
第1部「顔見せミニショー」 第3部「歌と踊りのグランドショー」は全国共通の用語ですね。第3部は「花の舞踊絵巻」とアナウンスされることも多いです。

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会場内

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桟敷席

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花道

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舞台前方部

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舞踊ショー

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定式幕

きっちりと大衆演劇場を作ったらこうなりました、という印象で設備に申し分はないようです。
繁華街ではありませんが、交通の要所である都会の駅にこうした本格的な大衆演劇場があるのは価値あることと思います。
(2011年9月)

お手本にしたい大衆演劇場 「古町演芸場」

新潟の繁華街古町にある古町演芸場を訪ねました。
平成17年オープンというからまだ新しい。

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JR新潟駅からバスでほんの数分で古町。古町十字路から少し歩けば古町演芸場は見えてきます。

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大衆演劇らしい門構え。

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券売機

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場内。私は一目みてここはいい劇場だなと思いました。
まず始めから座椅子と座布団が設置してある。そして座椅子同士の間隔が広い。
座椅子と座布団があった方がくつろげることは明白なのにレンタル料を徴収する劇場がほとんど。ここのおもてなしはとてもうれしい。
座椅子に座って足を伸ばせるかどうか、荷物を置く場所に困らないか、はお客さんにとっては気になるポイント。それを配慮した座椅子の配置になっています。

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右前方より

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ゆったり間隔の座椅子。
もっともお客さんがたくさんはいったら詰めざるを得ないのでしょうが。

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舞台前方

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劇団座員と芸題が書き出してあります。

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入場時に閉まっていた戸が終演後は退出口として取り払われます。

花道がないのがちょっとさみしいけど、大衆演劇場としての設備・雰囲気は申し分ない。
新しい大衆演劇場を作る場合のお手本にしてほしいような劇場です。
使い込まれてゆくうちにますます大衆演劇場としての味わいが増してゆくでしょう。
(2011年10月)

名残惜しき昭和テイスト満載大衆演劇場 「箕面温泉スパーガーデン」

箕面温泉スパーガーデンは経営方針の転換により大衆演劇の公演は終了してしまいました。
最後の公演月となった2011年11月に訪れました。

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阪急宝塚線に乗り石橋駅で箕面線に乗り換え終点箕面駅で降りました。
改札を出るとスパーガーデンの広告が目に飛び込んできます。

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駅を出て少し歩けば、高台に巨大な建物が。それに付随しているエレベーターと合わせてかなりのインパクト。

箕面駅前から広がる箕面公園は紅葉の名所。箕面の滝までの散策は人気の観光コース。観光の方がたくさんいます。外国人も多い。スパーガーデンに行く前に私も一緒に箕面を満喫することにします。

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箕面の滝

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名物のもみじ天ぷら。
収穫したもみじを塩漬けにして、1年後に塩抜きして調味料と衣をつけて揚げたもの。甘いお菓子です。


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ではスパーガーデンへ。
巨大展望エレベーターに乗り込みます。

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長いエレベーターを登りました。すいぶん高いところに来たようです。広々見渡せます。逆にスパーガーデンはこの界隈の方ならだれにでも存在を知られてるということでしょう。

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施設入口

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2階のゲームコーナー。
昭和のゲーム機の名機が勢ぞろい。無邪気に遊んでいた子供の頃の記憶がよみがえるとてもノスタルジックなスペース。12月からは2階以上は閉館となるとのこと。ああ残念すぎる。

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前方に見えるのが同じ2階にあるイベントホール。
この建物の昭和な雰囲気いいなあ。

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このイベントホールで大衆演劇公演が行われます。

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飲食店で求めたものをこの丸テーブルに持ってきます。

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最前列は指定席。

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このような味わい深い飲食店がホール横に並んでいます。

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カレーとビールを注文。

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舞台横のスクリーン。

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舞台前方。使い込まれた様子がわかります。

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天井の意匠もぐっときます。

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公演中の様子。お客さんであふれんばかり。

まさしく昭和の大衆演劇場でした。公演終了は残念ですが、なんとかぎりぎり探訪できてよかったです。

地下の大浴場も昭和テイスト満載。
温泉施設はまだ営業していますのでスパーガーデンの魅力を知りたい方は行ってみてください。

多くの方の支えとともに 敬老の城 「岩瀬城総合娯楽センター」

311の大震災は多くの大衆演劇場に大打撃を与えました。
被災地付近で公演していた劇団が気になっていましたが、岩瀬城総合娯楽センターで公演していた駒澤輝龍のブログの写真()を見てびっくりしました。天井も落ちて会場がめちゃくちゃになっています。しばらく営業再開は難しいだろうなと思っていたら、4月1日から営業を始めると知って、またびっくりしました。

震災から4か月後の7月に岩瀬城総合娯楽センターを訪ねました。


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茨城県桜川市。国道50号線を北に曲がると、岩瀬城があるという山が見えます。

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途中にある看板。

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公道から岩瀬城の敷地に入るにはここを右折します。はじめわからずに通り過ぎてしまいました。

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敷地に入ってからもしばらく進みます。
車1台くらいしか通れない狭い急坂もあります。

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登りつめたところに目指す建物がありました。

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岩瀬城の敷地からの眺め。山の高いところに来た実感がします。

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入口

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ロビー。右奥が受付。一番安い基本料金は2600円。お弁当代(お酒orジュース1本付き)も含まれています。
受付にとても感じのよいおねえさんがいらっしゃいました。大衆演劇場の受付がおねえさんというのはうれしいですね。おそらくこのおねえさんが岩瀬城のブログを書いている方なのでしょう。このブログ、岩瀬城の四季折々のイベントをフレンドリーに綴っていてとてもほっこりします。

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おそらく震災から間もない頃、岩瀬城が復活した際に掲示されたのだろう貼り紙。勝手ながらこのメッセージを転記させていただきます。
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岩瀬城も踏ん張ります!!
この度の「東北地方太平洋沖地震」で被災された方々に心からお見舞い申し上げますと同時にお客様及びご家族のご無事をお祈りしております。
岩瀬城もこの地震の影響で3/12~3/31までの休館を余儀なくされました。岩瀬城の大ホールが崩壊したのです!!
電気もなく水もない、燃料調達も非常に難しいという現状にただただ涙ばかりでした。でも、会長に社長は負けませんでした!!毎日寝ずに、業者集めをし、復旧を成し遂げました。スタッフももちろんカッパを着ながら協力しました。そう、沢山の業者さん、スタッフ‥そして物資を届けてくれるお客さんに助けられ、支えられどうにか20日間の休館だけで立ち上がれたのです!!
どうぞ、明るい未来を信じて‥皆様も踏ん張ってください!!憩いの場所「岩瀬城」もそんな踏ん張る人の少しでもお役に立ちたい!!って気持ちで負けずに頑張ります!!「岩瀬城の復活待ってたよ」って声を心の支えにいつまでも。
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岩瀬城がいいかにかかわっている方々とのつながりを大切にしているのか、いかに多くの方から愛されているのかが伝わってくるような内容です。

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館内に貼り紙を見ていればここのモットーが一貫して「ご老人を大切にする」「ご老人のための娯楽場」であることがわかります。

壁に「財界とちぎ」という雑誌の記事が貼ってありました。
岩瀬城総合娯楽センターについてのインタビュー記事です。
古い記事のようですが(出版年不明)以下のようなことが書かれています。
工務店を経営していた現会長が、新たな事業として始めた。土地を購入して造成し昭和60年に岩瀬城総合娯楽センターがオープン。会長いわく「遠い祖先が残した足跡を振り返り感謝する気持ちと、戦前戦後にがんばってきた方々に楽しんでいただきたいという気持ちを込めて」この施設を建設した。

インタビューの最後には、若い世代にも大衆演劇を見てもらって現代社会で忘れ去られつつある日本人が大切にしてきた人間関係を伝えたい、との社長のメッセージがありました。

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茨城県有数の桜の名所なんですね。ブログにも見事な桜の写真がアップされていました。

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基本料金には入浴代も含まれています。改装したばかりというお風呂。檜・松・杉の木を使っているとのことで木の香りでいっぱいです。緑にかこまれていて光にあふれとても気持ちの良いお風呂でした。

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通りすがりに見えた宿泊室。ここは宿泊観劇コースもあります。

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ショー・芝居が行われる大広間。

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緞帳。「贈 名古屋鈴蘭南座」とあります。岩瀬城と鈴蘭南座にどのような関係が?

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花道

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左手後方、飲食物を注文できるところ。

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酒のつまみもいろいろあります。車で来ていなかったらかるく酒盛りできたのに…残念。

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舞台と反対側にある物販コーナー。

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団体ではない一般のお客さんの席は自由。座を定めるとお茶セットを用意してもらえます。

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これが公演スケジュール。

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公演前に歓談するお客さん。

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お弁当。このお米も岩瀬城の会長の田んぼで作っているみたいです。

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「お客様の時間」1曲200円でカラオケができます。1日~5日は無料だとか。

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舞踊ショー

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岩瀬城名物?の黒糖まんじゅう。これが美味しい!行ったら是非おみやげに買いましょう。

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帰り専用道路。まさに城のよう。

大衆演劇という芸能文化は時代のニーズによって常に変化しています。今回は、大衆演劇が昔ながらのありようで現在の日本人の暮らしやこころとともに息づいていることを見ることができた訪問でした。
日本人の心のふるさととしていつまでも岩瀬城で大衆演劇が続くことを願っています。
(2011年7月)

劇団琥珀(竜美獅童座長)@川崎大島劇場 2012.6.03

2012年6月の川崎大島劇場は竜美獅童(たつみしどう)座長率いる劇団琥珀。
大島劇場は8年ぶりだそうです。当時は劇団虎龍として、水原凉座長と竜美獅童座長の2枚看板だったようです。

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大島劇場の前の絵看板。この看板をどこで作っているのかいつも気になります。

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竜美獅童座長。愛知県の岡崎出身とのこと。口上挨拶でこの芸名の由来を話していましたが、ネタみたいなのでここで書くのはやめます。

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副座長水原愛

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水原凉の女形

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子役:水原小虎と水原竜馬
太いマユ毛は海苔。舞踊の最後で食べる。

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水原竜馬 この後客席に降りてきてお客さん全員と握手

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水原小虎 世代が変わっても股旅姿は受け継がれてほしいです

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竜美空新(そあら) ブログによると最近23歳になったよう 
舞踊は「時代おくれ」とシブい歌でしたが、よくみると履物はデコレーションのあるピンクの鼻緒のかわいい下駄。先日の誕生日のプレゼントだったみたいです。

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寿恵 まだ17歳でしょうか
芝居は上手くないが、公演に臨む姿勢がよく、とても好感を持ちました。

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(多分太夫元の)夏帆扇華
劇場入口でもぎりをやっていたときはふつうのおばちゃんでしたが、さすが舞台に立つと全然違います。シブいオーラがすごい。

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座長

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水原凉
何故いまは座長でないのだろう

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座長と副座長の相舞踊

ファミリー感あふれる旅役者らしい一座。
お客さんとのコミュニケーションを大切にしているアットホームな劇団です。
プロフィール

notarico

Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

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