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はじめての大衆演劇、はじめての三吉演芸場マニュアル

はじめての大衆演劇、はじめての三吉演芸場マニュアル
(2019.7.16更新)


「いちど大衆演劇を観てみたい」
と思っている方のために
横浜にある唯一の大衆演劇場「三吉演芸場」の観劇ガイドをつくりました。

以下、大衆演劇の基本情報を交えながら
三吉演劇場での観劇をご案内します。

【どんな劇団が公演を行っているのか】
全国には100を超える大衆演劇の劇団があります。
そのほとんどが全国を転々と巡業する旅役者の集団です。
座員は家族・親族を中心に構成されています。
梅沢富美男、早乙女太一は大衆演劇出身の役者さんです。

【どこで観ることができるのか】
全国には100を超える大衆演劇の公演場所があります。
公演場所は大きく2つタイプに分けられます。
大衆演劇専門の「劇場」および業界で「センター」と呼んでいるお風呂付きの施設(スーパー銭湯、健康ランド、温泉ホテルなど)です。
東京・神奈川には5つの「劇場」があります。
十条の「篠原演芸場」、浅草の「木馬館」、立川の「立川けやき座」、川崎の「大島劇場」、そして横浜の「三吉演芸場」です。
公演する劇団は1か月ごとに変わります。
1つの劇場では1年に12の団体が公演を受け持つことになります。

【いつやっているか】
大衆演劇の公演は1月1日のお正月から1年中ほぼ毎日行われています。
劇団の移動日にあたる月末の1~2日は公演がありません。
また月の途中で休演日が設けられることもあります。

三吉演芸場は毎週月曜日と月末が休演日です。
(これでも他の劇場と比較すると休演日は多いです)

【公演内容】
一般的な劇場の公演時間は3時間~3時間半ほどです。
三吉演芸場の公演時間は3時間です。
「お芝居」と「舞踊ショー」から成ります。
現代のほとんどの劇場のプログラムは以下のようになっています。
第1部:ミニショー(舞踊ショー)
第2部:お芝居
第3部:グランドショー(舞踊ショー)
お芝居は約60分。
特選狂言など尺の長い芝居の場合は第1部からお芝居をはじめて2部構成となる場合があります。

お芝居もショーも毎日内容がかわります。
ですから毎日行っても楽しめます。
劇団はたくさんのレパートリーを持っていて、その土地柄やお客さんの反応をみながら芝居の内容を決めてゆきます。
また、本番中もお客さんの反応次第で、また役者の気分・思い付き次第で芝居はたやすく変化します。
他の演劇に比べるとアドリブが多いことが特徴といえます。
芝居はほぼ時代劇です。


三吉演芸場に行ってみましょう

<三吉演芸場基本情報>

公演日:毎日(月曜日および月末の2日ほどをのぞく)
昼の部:開場12:00 開演13:00 終演16:00頃
夜の部:開場17:00 開演18:00 終演21:00頃
入場料:一般席2200円 指定席2500円
予約:不要(特別なイベントでもない限り席が埋まることはありません)
    思い立ったらひょいと出かけましょう。

公演している劇団は三吉演芸場のホームページで確認できます。
芝居の演題や特別ゲストなどの情報も掲載されています。
・三吉演芸場ホームページ

なお、大衆演劇劇場の木戸銭(入場料)の相場は1700円くらいです。(この安さが「大衆」と名が付くゆえんでもあります)
三吉演芸場の入場料は相場より高いですが、施設はとてもキレイです。
古くさい場所やごちゃごちゃした場所が苦手の方でも安心して観に行けます。

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三吉演芸場は横浜駅の南方にあります。
最寄駅は横浜市営地下鉄「阪東橋(ばんどうばし)駅」(横浜駅から9分)です。
京浜急行の「黄金町(こがねちょう)駅」からも歩いて行ける距離です。
私は京浜東北線の石川町駅や関内駅も利用しています。
はじめて行く方は阪東橋駅を利用するのが無難でしょう。

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地下鉄阪東橋駅1A出口を出て、横浜橋通り商店街を通って行くのが、わかりやすい行き方。

黄金町駅から一目散に劇場に向かう場合は、大通りをまっすぐ進み、中村川で左折するルートが人通りが少なくてよいと思います。
時間があるのなら横浜橋通り商店街を通るのが楽しくてよいでしょう。

地下鉄が阪東橋駅に近づくと、車内に「三吉演芸場へはこちらです」というアナウンスが流れます。

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阪東橋駅の改札を出ると、三吉演芸場の案内看板があります。

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阪東橋駅1A出口を出てしばらく進みますと横浜橋通り商店街の入口に着きます。

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長いアーケード商店街をひたすらまっすぐ進みます。

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アーケードの出口で大通りにぶつかります。
ここで横浜橋通り商店街は終わり。
この大通りを渡ると、三吉橋通り商店街という小さな商店街になります。

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三吉橋通り商店街をちょっと歩いて左手に三吉演芸場があります。

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入口は2階。
階段を上ります。

2階に上がりますとすぐ演芸場入口があります。
入って左手に受付があります。
ここで入場料2200円を支払いチケットを受け取ります。
前の方の席で観劇したい場合は2500円の指定席を求めましょう。
どの指定席が空いているかは受付で確認できます。

支払いを済ませましたら、劇場に入る前に、
受付前にあるチラシラックから公演チラシをとりましょう。

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これは、2014年10月の都若丸劇団のチラシ。
出演者の名前が書いてあります。
大衆演劇は役者さんの顔と名前を覚えると楽しさが倍増します。
このチラシで役者さんの名前をチェックしましょう。

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三吉演劇場の内部をおおざっぱに描いてみました。

受付前のチラシを取ったら、劇場内に入りましょう。
前方が指定席、後方が自由席です。

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場内には「ここより前指定席」という札がさりげなくかかっているだけで、
初めて来た方は前方が指定席であることに気付かないことが多いでしょう。
知らずに指定席に座ってしまい後で気付いて席を移動する、というお客さんをよく見かけます。

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場内の様子。

座を定めましたら、あとはごゆるりと大衆演劇を楽しんでください。
なお、大衆演劇場は「飲食持ち込み可」です。
お菓子をつまんだりしながら開演を待つ、このくつろぎの時間もまたいいのです。
飲食は開演前や休憩時間にして、公演中は舞台を楽しみましょう。

公演が終わりますと、劇団員一堂が劇場の外でお客さんをお見送りします。
気に入った役者さんがいたら「よかったです」などと声がけしてもよろしいかと思います。お客さんの喜びの声は役者さんの元気のもととなるようです。
座長さんと握手して帰宅しましょう。


気軽にふらっと観に行けるところ、家の居間にいるようにくつろげるところも、大衆演劇の魅力です。
お時間がありましたら是非三吉演芸場へお越しください。


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三吉演芸場の「おかみ」本田玉江さん座談会 2011.6.27

神奈川新聞に「わが人生」という、地元ゆかりの人物の自叙伝を毎日連載しているコーナーがあります。
今年の5月6月はボクサーのカシアス内藤で、横浜でボクシング活動を続けてきた自分は毎日楽しみに読んでいました。その次の7月8月はなんと三吉演芸場のおかみ本田玉江さんが登場するとのこと。
6月27日に神奈川新聞主催のプレイベント本田玉江座談会「大衆演劇と歩む」が三吉演芸場で行われたので見に行きました。

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事前に申込み送られてきた受講票

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三吉演芸場は毎週月曜日は大衆演劇はお休みで、原田ヒロシのライブや桂歌丸一門の寄席をやっています。
座談会の案内の上にあるのは原田ヒロシライブのチラシ。

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会場はほぼ満員


三吉演劇場は今年の12月で80周年。大衆演劇の小屋としては日本で一番古い歴史を持つそうです。
本田玉江さんは現在86歳とのこと。父親が六代目菊五郎とクラスメイトだったこともあり小学生の頃から歌舞伎を観るのが大好きだったそう。
22歳のときお見合いで嫁いで来た先が風呂屋。その2階が貸席で当時は興行師に貸していた。その後本田さんはやりたいと強情を張って芝居小屋に改修して三吉演芸場を始めたとのことです。
建物の老朽化のために廃業の危機もありましたが横浜市などの協力もあり現在の演芸場に生まれ変わったのは1998年。そして今に至る・・・とあまりにも簡単に書いてしまいましたが、1時間の座談会ではたくさんのエピソードが紹介されました。いろんなご苦労や喜びがあったかと思いますがそれは新聞でタップリ読ませていただきます。

10年前、70周年の際に本田さんがお作りになった「三吉演芸場七十周年記念だより」に本田さんによる面白いコラムがありました。昭和50年、非常に低迷していた状況を打破しようと、本田さんは映画「残菊物語」にヒントを得て「舟乗り込み」を計画・挙行したとのこと(三吉演芸場の目の前には川があるのです)。乗り込みをしたのは梅沢劇団。梅沢富美男当時19才。テレビや新聞も取材に来たそうです。そのフィルム見たいな~。


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三吉演芸場の廊下の壁には本田さんの写真が貼ってありました。

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翌日の神奈川新聞に座談会の様子が掲載されていました。

座談会ではゲストの原田ヒロシさんが本田さん作詞の歌を披露。それもとても良かったです。

とってもキレイな横浜唯一の大衆演劇場 「三吉演芸場」<実践編>

三吉演芸場の特徴といえば
・新築のようなキレイさ
・料金が高い(2,200円)
ということで、おそらく一般に大衆演劇劇場が抱かれるであろうイメージとは真逆であります。

裏を返せば、大衆演劇には興味があるけれども古めかしい雰囲気は苦手、といった方にお勧めするには格好の劇場ではないでしょうか。そんな方が独りでも不安なく観に行けるようリポートできればと思います。
三吉演芸場までの行き方は<準備編>をご覧ください。

三吉演芸場は前方に指定席(+300円)がありその他は自由席です。初めての方は迷わず300円を払って、近くで観劇できる指定席を取りましょう。入場してすぐ左手のカウンターでチケットを購入して中に入ります。その時に指定席ありますか?と尋ねると座席表を見せてくれるので、空いている指定席のうち好きな場所を選びましょう。入場料2200円+指定席300円=2500円は高いかもしれませんが、1つの劇団につき1回は間近で魅力を感じたいものです。土日の昼の公演や人気劇団の場合などはすでに指定席が予約で一杯の場合もありますが、平日夜の部は指定席ガラガラの日が多いです。

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ここの階段を上ると入口扉があります。
指定席が予約で一杯の回に少しでも良い席を確保するには、なるべく早い順番で会場に入る必要があります。
早めに劇場に行き10:00~11:30に入口付近で配布している整理券を手に入れましょう。整理券配布時間に劇場の方がいなくても、しばらく待っていれば来てくれると思います。
整理券を入手したら自由行動OK、開場10分前(11:50)には入口前に戻りましょう。開場前に整理券番号順に入場待ちのお客さんを並びかえます。

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演芸場の開場を太鼓の音が知らせます。

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座席表。入口はこの図の左中央。
中央前5列と右側前4列が指定席です。

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いつみてもきれいにお手入れされています。

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指定席自体には指定とわかるものがなく、このように小さな案内表示があるだけです。事情を知らない初めての方はこの表示に気付かず、指定席を自由席と思って座ってしまうことがあります。

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後方から。

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前方から後方上部を仰ぐ。

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売店コーナー。

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自由席ではどの席が良いか。すいている(指定席があまり埋まっていない)場合は、一番舞台に近い自由席最前列が良いでしょう。ただし混んでいる日はこの席はちょっとリスキー。というのもこの劇場は勾配が小さいため、前の席の方の頭と舞台がかぶりやすいのです。この写真は自分が自由席最前列に座り、目の前の指定席最後列に座高の高めの方が座ってしまったとき。

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混んでいる日に人気がある自由席は、左列か右列の端っこの席。中央の席より舞台からの距離は遠くなりますが前の席の方の頭を気にすることなく観劇できます。この写真は、自由席左側前から3列目の一番右端の席。

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小泉たつみ座長が足を滑らせ客席に落ちたハプニング(2010年12月)。やはり他の劇場に比べて床がツルピカなのでしょうか。

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龍美麗・南條影虎のスーパー兄弟の最終公演(2010年10月)。早く幕が下りたと思ったら、アンコールの大合唱、ラストのステージは指定席の全員が総立ち(よって自由席の方も見えないので立つ)となり、大喝采。こんな光景は初めて見ました。

座長さんの口上挨拶で「三吉演芸場は難しい」というようなことをたまに聞きます。料金の高さがリピーターとなるかどうかにかなり影響を与えているのでしょう。

とってもキレイな横浜唯一の大衆演劇場 「三吉演芸場」<準備編>

横浜唯一の大衆演劇劇場「三吉演芸場」を紹介します。
僕は生まれ育ちが横浜、職場も横浜、ということで愛着もあり馴染もある劇場。
まずは劇場界隈の様子からご覧ください。

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横浜市営地下鉄坂東橋駅の改札をでると案内板があります。1A出口から出ます。

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1A出口を出て歩いてすぐのところにある横浜橋商店街(正確には横浜橋通商店街)。ここを通り抜けて三吉演芸場に向かいます。
なお、京浜急行沿線(さらに京急に接続している都営地下鉄浅草線沿線)にお住まいの方は、ここから10分ほど歩いた京浜急行黄金町駅を利用した方が早く着きます。横浜駅は地下鉄と他の鉄道のアクセスが悪いのです。僕の家の最寄り駅は浅草線なのでいつも黄金町駅を利用しています。
商店街入口にある天丼屋さんは行列ができる有名店。

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長い商店街をひたすら進みます。

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横浜橋商店街は韓国料理屋・韓国食材屋が多いです。

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商店街を抜けると、大きい通りに出ます。その先が三吉橋通り商店街。「日本一かわいい商店街」ののぼりがたっています。

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ほんとにちょっとの長さしかない三吉橋通り商店街。商店街突き当たり左手に三吉演芸場があります。
普通劇場の外には劇団ののぼりがたくさん立っていますが、三吉演芸場は建物内にあります。

演芸場に入る前にやらねばならぬことについて触れておきます。
大衆演劇を楽しむにあたって必ず考えなければならないのは、いつ・どこで・何を食べるかということです。入場前に食事を済ませるのか、弁当を持参するのか、軽食で済ませて観劇後に呑みに行くのか・・・、観劇前から後までのプロセスをいかにアレンジするかで大衆演劇の満喫度はかわってきます。

演芸場に入る前に腹ごしらえをしたい場合、大衆文化好きな方にお薦めしたいのが酔来軒(すいらいけん)。
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横浜橋商店街を抜けて大きい道路に出てちょっと左に行くと赤い庇のお店があります。そこが広東料理酔来軒。庶民的な中華料理屋さんとしてたまに雑誌や本にとりあげられます。
ここのお兄さんやおばちゃんがとても気さくな方で、三吉演芸場のことなどもいろいろ教えてくれました。三吉演芸場が改築する前の界隈の写真を見せてもらったことがあります。

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左上「酔来丼」400円。ネギ+メンマ+チャーシュー+目玉焼き+味付けもやし。タレ(醤油ベース・ゴマ油・からし)を混ぜて丼にかけてよく混ぜていただきます。
気になる方はYou Tube「酔来軒」で検索。食べたくなること間違いなし。
右下「焼きたてチャーシュー丼」700円。毎日焼いている自家製チャーシューがたくさん入っています。

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ちょっと一休みしたかったら、商店街中ほどを左の路地に入ったところにあるコーヒーマツモト。待ち合わせにも使えます。

三吉演芸場はキレイな劇場ですが、おにぎりやパンといった軽食ではないいわゆる「お弁当」が食べにくい雰囲気ではありません。持ち込みをする場合は横浜橋商店街で何か買っていけば良いと思います。商店街にコンビニはないので菓子やらつまみやら酒やらおにぎりやらをまとめて買いたかったら地下鉄出口近くのコンビニを利用すると良いでしょう。
パンがよければ丸十ベーカリーというお店があります。観劇ご飯の王道、おにぎりを売っている店はあまり多くないですね。

さて食事の問題もクリアしたらいよいよ劇場へ。
<実践編>へ続く。
プロフィール

notarico

Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

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