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別府鉄輪温泉の大衆演劇場 「ヤング劇場」 が2020年3月末に閉館

別府鉄輪温泉の大衆演劇場 「ヤング劇場」 が2020年3月末に閉館

別府鉄輪温泉にあるヤングセンターが2020年3月末をもって閉館するそうです。
ネットのニュース記事によるとヤングセンターは1953年創業。ですから半世紀以上の歴史を持つのですね。
2019年9月に閉館することを従業員に伝えたとのこと。

そんなこととはつゆ知らず私はまさにその2019年9月にヤングセンターを訪ねていました。
その時の様子からして、私が行った時点ではまだ閉館が知らされていなかったのだと思います。

またひとつ昭和の雰囲気いっぱいの味わい深い大衆演劇場の灯が消える。
名残惜しさを胸に惜別のレポート綴りたいと思います。

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2019年9月私は九州大衆演劇場めぐりの旅をしていました。
別府駅西口から「鉄輪温泉・地獄めぐり 行き」のバスに乗りヤングセンターを目指します。

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鉄輪温泉バス停付近の案内板。
観光地は山の中腹の斜面に広がっています。その中央部にバス停。その上の方は「地獄」と呼ばれる温泉噴出口が点在しています。

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バス停から温泉街のメインストリートを下る。
道の両側にヤングセンターの看板。

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ヤングセンターが見えてきました。

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世界一の噴気沸騰泉と書かれた看板。
ヤングセンターも3つの温泉源泉を持っています。

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ヤングセンター

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ヤングセンターの大衆演劇場はいつからかヤング劇場と名乗るようになりました。

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役者の顔が大きく飾られたインパクトある看板。
長い間、毎月この看板を架け替えてきたのでしょう。

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来月以降の劇団予告看板

ヤング劇場に入りますとすぐ右手にフロントがあります。

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入口入って左手には階段があります。靴は階段の左側に靴箱に入れればよい。

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階段の上の休憩所。

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階段脇に靴箱がありましたが階段上にも「はき物ロッカー」があります。使用料100円。
わざわざこのロッカーを使う人がいるのでしょうか、と疑念に思った私はわざわざこのロッカーを使ってみました。
いまどき100円がかえってこないロッカー、むなしい。

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建物入口入って正面に温泉入口。

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温泉入口右手に掲示されていた演目案内とゲスト予告。
今月は澤村慎太郎劇団。本日昼の部の演題は「修善寺の決闘」

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劇場入口

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ここから先、劇場内はスリッパを脱ぎます。
松の木の絵をバックに昼夜2回公演を案内するポスター。
ヤングセンター内はかわいい絵の掲示が多い。

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劇場内。薄暗い。

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劇場後方。
貸出用の座椅子と座布団が積まれている。
この上方には私が入ったことがない2階席。

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暗い劇場内に浮かび上がるように存在している売店

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ビール、酒、焼酎も売っている

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幕の絵は私が以前訪れた時と変わっている。
舞台前にでているせり出しもこの劇場の特徴。

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せり出し舞台からトラロープが客席後方まで伸びている。
ただロープが置いてあるだけだが、役者が通るのでロープの間は座らないでね、というメッセージは十分伝わる。

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花道

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照明が灯ると劇場らしい雰囲気になってきます。

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ミニショーが始まりました。

ミニショー後の休憩時間にYシャツにネクタイ姿の従業員さんが舞台前に出てきてお客様にご挨拶。毎回公演中にご挨拶しているのでしょう、かなり慣れていてすらすらと親しみある口調でお客さんに語りかけます。この「息子」と呼ばれている方がヤングセンター社長の息子さんなのかなと推測しました。
「息子」さんが物販を始めました。シール式のはりと「まむし油」という塗り薬。ヤングセンターはヤングをメインターゲットにしたセンターではない。あちこち身体に不具合が出始めたオールドのための娯楽場。

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私はどちらも購入しました。それぞれ千円。
「自分で出来る!ヤングのはり」
「伊吹山特産 天然要素 ヤングのまむし油」
こういうあやしげ?な健康グッズを売っていても違和感がない。それが日本の旅芝居小屋。

旅芝居は人々の暮らしとともにある演劇だ。
大衆演劇場は人々の暮らしの場だ。
こういう劇場があることを、世界の演劇研究者(あるいは劇場研究者?庶民文化研究者?)が取材にこないものか。

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第二部お芝居に続き第三部舞踊ショー

ニュース記事によると土地・建物はホテル事業などを手掛ける東京都内の企業に売却するのだとか。
ということは温泉旅館としてリニューアルされるのだろうか。だとしたら大衆演劇場が復活する可能性があるかも?
閉館の理由は経営者の高齢化とのこと。えっ?ではあの時の「息子」さんは一体…。

ヤングセンターは大きな温泉街の中にはありますが演劇場としての立地はあまりよくないと思います。けれども毎年人気劇団も乗り長年愛され続けてきたのは、常連の団体さんが多くいらっしゃったからでしょう。逆にいえば、昨今は団体客を呼び込むのが難しくなっているのかもしれません。
でもあの屋外の看板を見れば社長さんが情熱をもって大衆演劇場経営に力を注いでいたことがわかります。
味わい深い大衆演劇場がなくなってしまうことが残念でなりません。
長い間本当にお疲れ様でした。

石畳の温泉街の大衆演劇場 「ヤングセンター」

ヤングセンター。
その言葉の響きは何度私の胸に期待と憧れを抱かせたことでしょうか。
なぜヤングなセンターで大衆演劇なのか。大衆演劇以外にヤングな何かがあるのだろうか。

探訪欲が高まり1度別府訪問を企画しましたが震災のため中止となり、再度行くチャンスを得て探訪しました。

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別府駅西口2番バスのり場から亀ノ井バス「鉄輪(かんなわ)」行きに乗ります。

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約30分で終点鉄輪に着きました。山の斜面にある鉄輪温泉街を貫く「いでゆ坂」を下ります。

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温泉街らしい石畳を歩いてゆくと、ありました「ヤングセンター」の看板が。

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ここがヤングセンター。「ヤング劇場」の看板がかかっています。

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入ってすぐ右が受付。
芝居のみと芝居と温泉のセットがあります。

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座椅子・座布団の料金も受付で支払います。
「宿泊料金は前料金にてお願い致します」と書いてあるようにここは宿泊もできるらしい。私は過去に2度電話でヤングセンターの宿泊予約を申し込んだことがあるのですが、どちらも婉曲に断られてしまいました。男性1人がここに宿泊することはないようでだいぶ怪訝がられました。

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ロビー。開場前に入口扉に女性のお客さんがたくさん並んでいます。
この日はアイドル路線を走っている?劇団花吹雪。おっかけファンのお客さんがたくさん来ているのでしょう。
私は早く入って良い席をとる必要もないのでゆっくり温泉にでも入ってから観劇することにします。

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ロビーの隣におみやげ屋さんが。

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ロビーに芸題を貼り出しています。

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男湯。広い。意匠も素敵。この日は男性客がほとんどいませんでした。広いお風呂を贅沢に貸切状態。

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更衣室にあった告知。

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別府温泉といえば地獄めぐり。
別府地獄組合作成のレトロなポスターが旅の情緒をかきたててくれます。

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では劇場に入ってみましょう。
ヤング感あふれるサイン。この下を抜けるのがわくわくします。

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劇場内。奥右手が今入ってきた入口。
入口入って右が売店。左に貸出用の座椅子が置いてあります。

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場内風景。
娯楽感ある温泉街らしい装飾です。

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基本的に皆さん座椅子座布団セットを借ります。

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多くの大衆演劇場で設置している出っ張り舞台。業界用語で何というのでしょう。

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舞踊ショー。

ヤングセンターはとても興味ある劇場です。もう何度か通って、別府・大分の方にどのように愛されている劇場なのかを感じとってみたい。

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夜の鉄輪温泉街。地面から湧き立つ湯けむりが街灯に照らされてよい風情。
別府駅行きのバスも遅い時間まで運行しています。

温泉+大衆演劇の組み合わせは多いですが、このような本格的な温泉街にとけこむように存在している大衆演劇場は珍しいです。
結局ヤングセンターのヤングの由来はわかりませんでしたが、楽しい探訪となりました。
(2011年9月)
プロフィール

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Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

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