WIKIレンタル 大衆演劇探訪記
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蔵のまちにある蔵ノ街一座の拠点ホール 「812スタジオ」

蔵のまちにある蔵ノ街一座の拠点ホール 「812スタジオ」

仙台は大都市である。にもかかわらず常設の大衆演劇場はない。
いや仙台にかかわらず、宮城県内では常打ち公演にせよ単発公演にせよ、旅芝居がほとんど行われていない。

そんな宮城県内での大衆演劇公演の情報を聞きつけました。

宮城県村田町で三好辨太郎座長が立ち上げた劇団楓が公演するというのです。

私はさっそく旅に出ました。

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まずは新幹線で仙台駅に到着。

村田町には鉄道が通っていないので、バスで村田町を目指します。

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駅前の33番バス停。
村田町は仙台市の南西にあります。その村田町のさらに西に蔵王町があります。
ここから蔵王方面のバスに乗れば村田町に行くことができます。

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高速バス案内図。
「村田町・蔵王町・遠刈田方面」と書いてあります。
このバスの終点は蔵王町にある「アクティブリゾーツ宮城蔵王」です。
このホテルは以前は「宮城蔵王ロイヤルホテル」という名前でした。
宮城蔵王ロイヤルホテルでは単発で大衆演劇公演が行われていたことがあります。以前私は、宮城蔵王ロイヤルホテルにまで行ったことがあるのですが、公演月ではないことが現地で発覚し、大衆演劇を見れずに帰ったという思い出があります。

33番バス停からバスに乗り込みました。
バスは高速道路を通って村田町・蔵王町方面に進みます。

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「村田町公民館前」停留所で降りました。

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停留所から南へ歩いて数分、赤いドラム缶のようなものが乗っている建物が右手に見えてきます。

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それが今回目指す建物。
隣には「麺屋LUSH」というラーメン屋さんがあります。

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歩道脇には三好辨太郎座長の幟が立っていました。

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建物外観

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1階にカフェがあります。

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この建物の中にある「812スタジオ」というイベントホールで大衆演劇公演が行われます。
スタジオやカフェやラーメン屋は「YAIZOO仙台」という事務所が運営しています。

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劇団楓の公演ポスター。
劇団楓はYAIZOO仙台の所属タレントとして812スタジオで活動しているのです。

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入口

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入口入ってすぐ右手に受付がありました。
ここで木戸銭を支払います。
木戸銭は1500円でした。

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受付でチケットとストラップを受け取りました。

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廊下にでかいバイクが陳列されています。
その横の入口からホールに入ります。

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スタジオ内部

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前方

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客席。
前方はパイプ椅子。

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後方はバー仕様の椅子とミニテーブル。

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場内側面の壁にはタペストリーが飾られています。
タペストリーがあると大衆演劇場らしさがぐっと増しますね。

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場内後方にPA卓があるのはイベントホールならでは。
この高台を利用して投光を設置していました。

開演の13時が近づくにつれ、お客さんが続々と入ってきます。ついにはほぼ満席(50名ほど)となりました。
この日は特別狂言が予告されており予約がたくさん入っていたようです。

13時に開演し、第一部のお芝居「姥捨山」が始まりました。
「楢山節考」の旅芝居版ですね。辨太郎座長が以前所属していた劇団駒三郎でも特選狂言として演じられていました。
役者がヤマをあげる場面はもちろんのこと、登場人物が歌う場面や泣く場面でも客席から拍手が起こります。宮城県は旅芝居が盛んではない土地と思っていましたが、この日のお客さんは旅芝居を見慣れている印象を持ちました。
辨太郎座長の奥さんの三好りなさんが老婆役を好演。辨太郎座長がしょいこでりなさんを背負って舞台から客席を通って退場する場面が山場でした。

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85分間の芝居が終わり、三好辨太郎座長による口上挨拶。

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おそらく1階のカフェの方が休憩時間に飲食物を販売していました。
私はゼリー(250円)を購入しました。
飲物はアイスコーヒー、アイスカフェラテ、アルコールなど。ベビーカステラは15個入り400円。

劇団員ご祝儀用のフラワーレイや胸飾りの花も販売していました。

15時頃、第二部華の舞踊絵巻が始まりました。

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三好辨太郎座長

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三好辨太郎座長の女形

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三好りなさん

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新川恵叶さん

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南竜花さん。
劇団楓の正座員ではなく、ゲストとしての特別出演。
三好辨太郎座長の妹です。
かつて、辨太郎座長と竜花さんは兄妹座長として活動していたことがあったようです。

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辨太郎座長の母、南さやかさん。
同じく特別出演。

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ちびっこ3人による舞台

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舞踊ショーラストは、辨太郎座長と竜花さんによる梅川忠兵衛。

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公演が終わって、記念写真タイム

劇団楓の公演後、バスの時間まで余裕があったので村田町の中心地を散歩しました。

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村田町は蔵の町並みが見どころとなっています。
村田町のウェブサイトには以下の説明がありました。
仙台と山形を結ぶ街道の分岐点として、商都の賑わいをみせた「村田」。村田商人は、紅花や藍を仙南地方で買い集め、江戸や上方へ運ぶ商取引を行っていました。当時の栄華を伝える豪勢な店蔵が、今も町の中心部に残っています。
劇団楓の正式名称は「蔵ノ街一座劇団楓」です。ここ村田町を本拠地として活動する劇団であることがその名に表れていますね。

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通りにはこのような蔵の家屋がいくつもあります。

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蔵以外にもこのようなレトロな建物があって散歩していて楽しい。

以上村田町での旅芝居観劇の記録でした。
以下、今回の探訪のついでに私が寄った場所を綴っておきます。

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宿は遠刈田温泉に求めました。
温泉旅館が何軒もある宮城県有数の温泉地です。
大衆演劇場探訪と温泉旅館宿泊が合わさった旅は最高に楽しい。

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遠刈田温泉街にある共同浴場「神の湯」

今回の旅では仙台市内にも行ってみたかった場所がありました

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仙台花座。
仙台初の常設の寄席です。

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花座場内。コンパクトな寄席。
落語家2名は東京から出張してきていました。色物ではご当地の漫才師が出演。

とても楽しい宮城県の旅となりました。

(2023年8月探訪)

新時代の大衆演劇場 「歌舞伎町劇場」こけら落とし公演観劇レポート

新時代の大衆演劇場 「歌舞伎町劇場」こけら落とし公演観劇レポート

2023年10月1日、東京歌舞伎町に待望の大衆演劇場がオープンしました!
その名も歌舞伎町劇場。

そのこけら落とし公演および関連イベントをレポートします。

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10月1日(日)11時前、歌舞伎劇場が入っているハナミチ東京歌舞伎町ビルの前には大勢の人が集まっていました。
この日は、歌舞伎町劇場のオープンの日であると同時にこのビルのオープンの日でもあるのです。
11時から始まるビルのオープンニングセレモニーの見物客が押し寄せていたのです。

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テープカットの準備がされています。

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歌舞伎町劇場受付の前には劇場のオープンを祝う多くのお花が飾られていました。

11時にセレモニー開始。
新宿区長、ハナミチ東京歌舞伎町スペシャルアンバサダー小林幸子さん、ハナミチ東京歌舞伎町オフィシャル広報大使花園直道さんなどが挨拶しました。
小林幸子さんは「大衆演劇はエンターテインメントの原点」「新宿から大衆演劇を世界に発信してゆきたい」とおっしゃっていました。

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挨拶の後はテープカット。
挨拶された方々の他、小泉ダイヤ座長も加わりました。

テープカットが済んでセレモニー終了。

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歌舞伎町劇場こけら落とし公演を観にきたお客さんが続々と建物に入ってゆきます。

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1階ロビー。
こけら落とし公演を観にきたお客さんには劇場パンフレットと水のペットボトル(鏡開きのお祝用)が渡されました。

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地下1階の劇場へ

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劇場の花道

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補助席もMAXで設置されていました。

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客席前方

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客席前方から後方を見たところ

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歌舞伎町劇場自慢の椅子。
3時間公演を見ても全然疲れません。

通常昼の部は13時開演ですが、この日は昼の部と夜の部の間に劇場外でイベントがあるので12時開演でした。

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第一部は鏡開き
司会は小泉たつみ座長

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左より、小泉ダイヤ座長、歌舞伎町劇場代表の水野さん、歌手の小林幸子さん、山根演芸社社長の山根さん。

水野さんと小林幸子さんが挨拶をしました。
水野さんは旅役者を渡り鳥に例えてお話しされました。入口でもらった劇場パンフレットの挨拶では水野さんは劇場を巣箱に例えています。大衆演劇場は公演の場所であると同時に旅役者の生活の場です。役者もお客さんも豊かな時間を過ごすことが大衆文化の礎であることを水野さんが強く意識していらっしゃるのだなと思いました。
その後、山根さんの音頭で鏡開き。

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「よいしょ~」

この後檀上者はお酒を升に注ぎ、お客さんは入口でもらった水を持って乾杯。

第一部鏡開きが終わって休憩。

第二部はお芝居「元禄長兵衛 武蔵屋〆五郎」
歌舞伎調の台詞と所作がふんだんに盛り込まれた歌舞伎町劇場のこけら落としにふさわしい演目。
ラストで悪役は皆斬られますが、倒れただけで死にません。降伏した後また立ち上がる。
人が死なない、という点もこけら落とし公演に選んだ理由だそうです。

役者さんはマイクを使用していません。舞台に設置された集音マイクが役者さんの声を拾ってくれます。
書割(背景幕)の代わりに、LEDビジョンに背景が投影されます。これによりスピーディーな転換が可能になることをたつみ座長が指摘していました。

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お芝居の後、口上挨拶をする小泉たつみ座長。

第三部は舞踊ショー
ここでもLEDビジョンが大活躍。
さまざまに変化する背景をご覧ください。

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ラストショーではまさに「ラスボス」小林幸子さんが登場!

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さすがのオーラ

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小林幸子さんが歌う「千本桜」に乗って舞い踊る劇団員。
大量に舞う桜吹雪。

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終演後、小林幸子さんより挨拶。
舞台とお客さんとが一体となった大衆演劇の空間に感動されたようです。

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昼の部終演後、劇団一行はイベント会場へ移動します。
たつみ座長とダイヤ座長は人力車に乗って移動。

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イベントの場所は歌舞伎町タワー!

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歌舞伎町タワー前に劇団一行が到着しました。

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スターバックス店舗前のスペースを舞台として、舞踊ショーが行われます。
ビルの壁にある巨大なディスプレイには、ハナミチ東京歌舞伎町関連の広報が映し出されました。

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はじめに挨拶をする両座長

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ディスプレイに大きく映し出される小林幸子さん

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たつみ演劇BOXによる舞踊ショー。

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歌舞伎町タワーでのイベントを観覧した後、私はハナミチ東京歌舞伎町ビルに戻りました。
ここは1階ロビーのカフェ。
お酒のメニューが豊富です。

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私はアルコールではなく、自家製ハナミチレモネードをいただきました。

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2階は純喫茶「珈琲西武」です。

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道路に面して飾られている食品サンプル

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珈琲西武にも入ることにしました。

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純喫茶の雰囲気いいですね。

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珈琲西武がここに移転する前からの名物だったらしいオムライス(1,100円)を注文しました。
上品な味。とても美味しかったです。

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同じく2階には和レンタル衣装「きぬも」というお店があります。
ラストショーで着ていた「歌舞伎町」の文字の入った衣装はこのお店の提供によるものです。
入口のドアに「powerd by ASAHIYA Yokohamabashi」と書かれています。
三吉演劇場の近くの横浜橋商店街の中にある旅芝居役者御用達の着物屋「あさひや」が展開しているのですね。

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夜のハナミチ東京歌舞伎町ビル

立地といい設備といい本当に画期的な大衆演劇場だと実感しました!
歌舞伎町劇場の誕生を機に新たな大衆演劇ファンが増えることを願っています。

奈良の名芝居小屋 「弁天座」 が2023年9月で閉館 建物は壊さず運営引き継ぎ先を探す

奈良の名芝居小屋 「弁天座」 が2023年9月で閉館 建物は壊さず運営引き継ぎ先を探す

奈良県の大衆演劇場「弁天座」が2023年9月末で閉館するという情報をききつけ、どうしても見納めしておきたく、9月初旬に弁天座を訪ねました。

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近鉄大和高田駅
他の最寄駅としてJR高田駅があります。

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駅舎を出てすぐ右の路地へ

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路地の入口にある廃れた店舗(元果物屋?)は弁天座の広告塔のごとくポスター等が貼りだされています。

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「大衆演劇 涙と笑いの人情芝居 弁天座」

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店舗の壁には過去の公演ポスターがずらり。ずいぶん色あせていています。

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大和高田駅から徒歩約2分の好立地。
JRの線路の向こうに弁天座の建物が見えてきました。
大衆演劇場の前は映画館でした。

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建物の看板その1
「夢舞台 涙と笑いの人情芝居 弁天座」

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建物の看板その2
コピーは同じく
「夢舞台 涙と笑いの人情芝居 弁天座」

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弁天座入口

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芝居小屋の雰囲気がよくでています

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「本日の芝居」と書かれた看板
筆による貼り紙の味がたまらなくいい

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弁天座の提灯
その上に、いつから貼りだされたものか、入場料金変更の案内が出ています。
一般当日2000円。
私が初めて弁天座を訪ねた2010年は木戸銭が1500円でした。

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弁天座場内
このような天井の高い広々とした空間のある大衆演劇場は少なくなってしまいました。

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客席下手

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この屋根といい提灯といい、大衆演劇場ならではのしつらえ。

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立派な花道がある本格的な芝居小屋です。

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花道脇の桟敷席

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客席上手側の壁
赤・青・黒の顔料で書かれた掲示が素敵すぎる

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客席前方
定式幕

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座り心地のよい客席

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客席には傾斜がついています。ただし座席の部分はフラットになるよう施工されています。

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客席上手壁上方に映し出された照明と提灯
ノスタルジックな雰囲気

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公演中の様子

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同じく公演中の様子

弁天座の閉館については大手マスメディアも報じています。

■読売新聞オンライン記事(2023/9/16)
生の迫力、大衆演劇の灯を消さないで...新型コロナ禍で経営悪化の「弁天座」9月で幕、運営引き継ぎ先探す

■毎日新聞オンライン記事(2023/9/12)
「芝居の生の魅力伝えた」 奈良の大衆演劇場「弁天座」

閉館の理由はずばり経営不振。
建物は取り壊さず、後を引き継いでくれる運営会社を探すとのこと。

大衆演劇は、劇団の人気によって劇場の客数が大きく変わります。
集客力がある劇団が乗れば黒字になるし、そうでない場合は赤字になる。
これらを相殺して、結果的に年間収支が黒字になるかどうかで経営判断することになります。
つまり劇場の経営には「12か月のうちどれだけ人気劇団を乗せることができるか」が大変重要になります。
では、閉館という判断に至る前のここ1,2年、弁天座は公演をつとめる劇団に恵まれなかったのでしょうか。
私が弁天座にのった劇団のラインナップを見る限り決してそんなことはなかったと思います。

こんなよい立地にありよい設備があって、実力ある劇団がのっているにもかかわらず、赤字を余儀なくされているということです。弁天座閉館は大衆演劇界の苦境の顕れといえるでしょう。

新型コロナウイルスは2023年5月に5類感染症に移行しましたけれども、今もその流行が終息する兆しが見えません。老人の外出自粛傾向は今も続いているのかもしれません。
弁天座の固定客の多くがご老人であったと思います。私の今回の訪問でもお客さんはほぼご老人でした。
平日仕事のないご老人の固定客をいかにつなぎとめておくかが劇場の命運をわけると今回実感いたしました。

弁天座はなくなってしまうには実に惜しい劇場です。
なんとか復活してくれないかと祈っております。

(2023年9月探訪)

オープン直前! 「歌舞伎町劇場」内覧会レポート

オープン直前! 「歌舞伎町劇場」内覧会レポート

2023年10月1日に新宿歌舞伎町に大衆演劇場がオープンします。
その名も「歌舞伎町劇場」

多くの大衆演劇ファンが関心を寄せている歌舞伎町劇場のオープン前内覧会に行ってきましたのでレポートします。

歌舞伎町は日本でも屈指の歓楽街。新宿駅の北東、徒歩数分のところにあります。

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新宿駅から行く場合、靖国通りに出て新宿区役所方面に歩きます。
新宿区役所の近くまできますと「HUB」と「セブン銀行ATM」が見えます。この間の路地を入ります。

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同じ路地を別方向から見たところ。
地下鉄新宿三丁目駅から来た場合はここを右折します。
なお、新宿地下街のサブナードの13番出口を昇るとこのあたりに出ますので雨の日は地下道を使うとよいでしょう。

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路地に入って1分も歩かないうちに歌舞伎町劇場が入っている「ハナミチ東京 歌舞伎町」のビルが見えてきます。

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ハナミチ東京歌舞伎町ビル

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歌舞伎町劇場の看板も出ていました。
このビルの地下1階に劇場があります。

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劇場に入る前に「ハナミチ東京歌舞伎町」についてご案内します。
劇場だけでなく、この商業施設自体が2023年10月1日に開業するのです。
ですから歌舞伎町劇場はこのビル開業第一号テナントになります。
もともとこのビルのオーナーは、このビルの地下1階を劇場用途で設計していました。
その噂をききつけた歌舞伎町劇場代表がオーナーにプレゼンを行った結果、大衆演劇場としてオープンすることが決まったのです。
大衆演劇場の仕様とするために、ビルの設計を大幅に変更してもらったそうです。
まさに大衆演劇専用劇場!都心に新たにこのような劇場ができるとは感動的です。

さて、「ハナミチ東京歌舞伎町」のポスターを見ますと
「和をテーマに歌舞伎町から日本文化を発信!」と書かれています。
「和」がテーマのビルなのですね。大衆演劇場にぴったり。
といいますか大衆演劇場が入ることが決まったのでビルのテーマが和になったようです。
2階には「珈琲西武」という昭和レトロモダンな雰囲気の純喫茶が入ります。
観劇後に仲間とおしゃべりするのにちょうど良さそうですね。
3階、4階には和をモチーフとした飲食店が入ります。
3階の「内藤新宿」は江戸の雰囲気の店内だそう。こちらも楽しみ。

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「ハナミチ東京歌舞伎町」1階。
ここが歌舞伎町劇場の入口です。

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歌舞伎町劇場の看板

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建物に入ってすぐ左手にチケットカウンターがあります。
ちなみにチケットの購入場所とチケットのもぎりの場所は別。その理由は後述します。

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建物1階ロビー。
通路をまっすぐ行くと、男女トイレと喫煙室があります。
劇場は地下1階ですが、劇場フロアにはトイレはありません。1階にあるトイレをご使用いただくことになります。
女性用個室は5個あるとか。大衆演劇場では女性お手洗いに行列ができることが常なので5個もあるのはよいですね。
左手に、地下に降りる階段があります。ここから劇場へ行きます。
右手にカウンターのようなものが見えます。

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ここは「ハナミチカフェ」というお店。歌舞伎町劇場とは経営が別(2階の喫茶西武が運営)です。
開演前にくつろぐのにちょうどよいですね。

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喫煙所

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ビル1階の平面図。
地下1階の劇場へは1階の劇場ロビーから階段を下って向かうことは先述しましたが、エレベーターで劇場に行くこともできます。
劇場ロビーの入口の右手にこの建物のエレベーターがあります。ですからロビーのチケットカウンターを経由せずとも、このエレベーターを使って直接劇場に行くことができます。そのためチケットのもぎりは地下1階の劇場内で行うことになります。

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エレベーター

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ロビーから階段を下りて劇場に向かいます。

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歌舞伎町劇場場内後方より

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劇場右手後方側面にエレベーターがあります。
エレベーターが客席に直通しているので、開演中は地下~1階間のエレベーターの運行を停止する予定とのこと。

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劇場左後方より

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劇場右前方から後方を見たところ。
客席後方上部から黄色いライトが照射されています。
あそこが投光所です。

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特別に投光所があるキャットウォークに入らせてもらいました。
もちろんここには一般のお客さんは入れません。
キャットウォークから見た舞台。

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キャットウォークから投光しているところ。

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劇場には長い花道があります。
客席をつぶしてまでも花道を作るのは大衆演劇場としてのこだわりですね。

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舞台上から見た花道

さてこれからは歌舞伎町劇場自慢の設備を見ていきましょう。

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客席
座ってみましたがとても座り心地がよい。長時間座っても疲れなさそうです。
かなりよい座席を採用したのではないでしょうか。

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定式幕

この後ろにはなんと紗幕(薄く透ける幕)もあります。
私は紗幕を使った演出が好きなので、大衆演劇でどのように活用されるのか楽しみです。

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LEDビジョン
これはすごい!舞台後方一面に設置された超大型スクリーン。
ここにいろんなシチュエーションの背景を投影することができます。
書割(背景幕)をぶらさげる必要がありません。
舞踊ショーではその劇団の背景幕を設置することが多いですが、ここでは画像データさえあれば投影できるので幕を持ってくる必要がありません。
このLEDビジョンは革命的ですね。これぞ新世代の大衆演劇場という感じがします。

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背景だけでなくいろんな映像を用意しています。

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幻想的な動画背景もあり、舞踊ショーではかなり効果的でしょう。

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このLEDビジョン、どれだけゴッツイのだろうか、と思って横を見てみると、、薄い!
LEDビジョンの後ろを通って、役者さんが上手←→下手に移動することができます。

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舞台の中央からせり上げる二重舞台。最大80cmまで上がります。
これもこの劇場ならではの舞台機構。

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これは神社の場面で、二重舞台を少しせり上げたところ。
ちなみにこの柳は歌舞伎町劇場棟梁の手作りだとか。

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画期的なものはまだあります。
舞台のヘリの何か所かに取り付けられた集音マイク。
役者さんがピンマイクを装着しなくても、このマイクが声を拾ってくれます。

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天井にも集音マイクが取り付けてあります。

照明・音響設備もひととおり劇場にそろっています。
ですので、劇団が乗り込んできた際に劇団の照明やスピーカーを取り付ける作業が必要ありません。
これは休みの少ない劇団にとってとてもありがたいことでしょう。

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舞台上手側にある調光・音響卓。

旅芝居らしからぬ?近代的な設備を多く見てきましたがアナログなものもありました。

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天井にある雪カゴ。
手作りで取り付けたようです。もちろん電動ではなく、紐を手で引っ張って揺らします。
この雪カゴはバトンにぶら下がっているわけではないので、雪を入れる際には脚立に登って直接籠に雪を入れることになります。

舞台袖には多くの舞台セットのパネルが置かれていました。LEDビジョンの背景にこうした大道具・小道具を組み合わせて場面を作ってゆきます。LEDビジョンなどを見るとずいぶんリッチな印象を受けますが、劇場側ではなるべくコストをおさえるために手作りできるものは極力手作業で作っています。梱包用の発泡スチロールに色を塗って作ったお地蔵さんや、紙粘土で作った石などを見かけました。

楽屋は上手舞台袖から階段を昇った1階にあります。楽屋には男女トイレ、バスルーム、洗濯機、キッチンがあり、鬘箱を収納できる棚も取り付けられています。

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歌舞伎町劇場の杮落し公演をつとめるのはたつみ演劇BOX。
公演日時、公演時間、チケット代などは歌舞伎町劇場ウェブサイトからご確認ください。

新時代の大衆演劇場のオープン楽しみです!


(2023年9月探訪)

長崎街道の宿場町から工業の拠点に発展した後衰退しつつある街に活気を呼び戻す劇場 「黒崎新劇座」

長崎街道の宿場町から工業の拠点に発展した後衰退しつつある街に活気を呼び戻す劇場 「黒崎新劇座」

今回は2022年4月にオープンした福岡県北九州市の大衆演劇場「黒崎新劇座」を訪ねます。
紅あきら同魂会会長がオーナーの博多新劇座の姉妹店ですね。

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博多駅からJR鹿児島本線に乗って約1時間、黒崎駅に着きました。

黒崎は福岡県北九州市八幡西区にある街。
北九州市にある区の中で八幡西区は一番人口が多く、黒崎は北九州市の副都心といった位置づけにあります。

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駅前の目抜き通り。
都会らしく駅の周りには大きなビルがいくつも見えます。

ここで黒崎という土地の歴史をひもといてみましょう。

徳川幕府は1615年に武家諸法度で参勤交代を義務付けます。
これを機に全国の交通整備が進み、五街道をはじめ多くの街道が整備されました。
長崎街道もその一つです。
長崎街道は、鎖国下で唯一外国に開かれた長崎から小倉を結んでおり、幕府への献上品として異国の品物や文化を運ぶ重要な道でした。

参勤交代の制度が確立した寛永年間(1624~1644)に長崎街道の黒崎宿が整備されました。
黒崎宿は大規模に発展し、大名が宿泊する本陣や脇本陣、旅籠、関所、人馬継所などの施設が整っていました。

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江戸時代の黒崎宿絵図

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明治以降は周辺の工業の発達に伴い都市化が進みました。
戦後さらに人口が増加し、駅前に大きな商店街が形成されました。

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黒崎駅南東部に大きなアーケード商店街が広がっています。

しかし商店街の中の活気はいまいち。
日本全国ほどんどの商店街は衰退してゆく傾向にあります。
黒崎の商店街も同じ宿命にあるでしょう。
2020年には駅前にあった百貨店が閉店したそうです。

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商店街のいたるところに昭和の雰囲気が残されています。

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楽しいお買物の街 寿通り

レトロな商店街を散歩しているうちに黒崎新劇座の開場時間がせまってきました。
劇場に向かいます。

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商店街のアーケード抜けて少し東に行くと黒崎新劇座が入っているビルが見つかりました。

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別の角度から見た建物

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お向かいには「ニュー紳士街」というこれまたレトロなスナック街がありました。

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先ほどの建物の1階に黒崎新劇座があります。
元は映画館だった場所を改装してできた劇場です。

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入口横の掲示
この日は、恋瀬川翔炎座長率いる飛翔座の公演。

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劇場に入って右手に券売機があります。
この日は恋瀬川キャビア祭りということで特別料金(通常2000円のところ2500円)となっていました。
入場時のみに券売機のすぐ前に臨時でカウンターが設置されますので、そこのスタッフに購入したチケットを渡します。

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券売機の奥にミニ売店があります。
お菓子の他にサンドイッチも売っていました。
ビールもあります。

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弁当 550えん~600えん
ほっとこーひー 300えん
和雑貨各種 500えん~1500えん
びん各種 500えん~2000えん

2000円の瓶って何だろう。

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休憩スペース
ここで食事をとることができます。

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では劇場の中へ

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場内右後方より

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座席表

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場内後方より

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前方
花道はありません

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座席は映画館時代のものをそのまま使っているよう。
なので座り心地はよいです。

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劇場後方の壁に設けられた席

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劇場を横から見たところ
客席に傾斜がついているのがわかるかと思います。

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ちゃんと1列づつ段になっています。
この日は補助席も出ていました。

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演目の貼りだし。
ちゃんと筆で書いてあるのいいですね。

この公演は平日にもかかわらず大変多くのお客さんが詰めかけました。
座席は満員で補助席にまでお客さんがいます。
飛翔座の人気、恋瀬川キャビア若座長の人気はすごいな。
というか黒崎という土地の大衆演劇熱の高さに驚きました。
黒崎にも70年ほど前には大衆演劇場があったそうです。

12時、昼の部が開演しました。
第一部 ショー
第二部 芝居
第三部 ショー

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恋瀬川翔炎座長

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恋瀬川キャビア若座長の女形

1部と2部の間に劇場スタッフが「ゴミはありませんかー」と客席を回っていました。また、売店で売れ残ったサンドイッチを劇場内で販売していました。
2部の後には劇場内でコーヒーを売っていました。
スタッフに活気があって、よく働く。よい劇場であることの証です。

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この日のキャビア祭りの中で私を一番感嘆させたのは「どろろ」という舞踊。
20以上の変面ショー。圧巻でした。

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舞踊ショーの様子

飛翔座の公演を観終わって劇場を出ました。

この日、夕食をどうするか旅行の前にリサーチしていました。

黒崎の商店街にとても評判のよい「魚虎」という居酒屋があることがわかりました。

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商店街のはずれの細い通路にひっそりと存在している名店「魚虎」

ネット記事によると金土日は半年先まで予約が埋まっているそう。
私は旅行前にダメもとで電話してみましたが、やはり予約はとれませんでした。

ということで、私は黒崎第二の選択肢、「田舎庵」に行くことにしました。
「田舎庵」といえば博多の駅ビルにテイクアウト店も出店している小倉のうなぎの名店を思い出しますが、どうも黒崎の「田舎庵」は小倉本店の系列店や姉妹店という位置づけではないようです。

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黒崎 田舎庵 日日屋

せっかくなので「せいろ蒸しコース」6,200円を注文しました。
せいろ蒸しは福岡県柳川市を発祥とする郷土料理。
うな重とは違い、ご飯にうなぎのかば焼きと錦糸卵を乗せてせいろで蒸して作られます。

(コース内容)
冷酒・明太子・うざく・肝焼・鰻寿司・せいろ蒸し・デザート

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せいろ蒸し
美味しい!うなぎの皮はパリパリで香ばしい。身はふわっとしている。ご飯は蒸したてであつあつホクホク。タレが甘すぎない。後味がじわじわやってきて、食べた後に旨さを感じる。
この後デザートとして、アイスクリーム、すいか、メロンがでました。

黒崎グルメを堪能して宿をとっている博多に移動しました。

黒崎新劇座はとてもよい大衆演劇場でした。
令和の世になってもこのような素晴らしい劇場が誕生するのは、大衆演劇の未来にとってとても心強いことです。

こんど黒崎に来たときは、博多新劇座から魚虎へ移動するコースをやりたいなあ、、

(2023年5月探訪)
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Author:notarico
東京在住。大衆芸能(大衆演劇、落語、浪曲、講談等)が好きです。特に大衆演劇の世界に興味をもっています。
twitterアカウント:notarico

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